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1. 共立型幼保一体化における保育・教育課程の動向

 幼稚園や保育園などの集団保育における保育課程・教育課程に関する先行研究には、課程の内容に言及するもの(たとえば奥山,2015)、課程の編成の手順に関するもの(たとえば渡邊ほか,2010)、歴史的な背景や変遷に関するもの(たとえば大西,2012)などがあります。しかし、本プロジェクトが目指す共立型幼保一体化における保育・教育課程に関する研究はほとんどないことがわかりました。
 また、子ども・子育て関連3法に基づく子ども子育て新制度の施行に伴い、多くの保育現場で幼保連携の実践が進められていますが、保育・教育課程に関する研究は多いとは言えません。
 少ない研究の中から、保育・教育課程に関する報告をみてみると、例えば加治佐ほか(2009)は、認定こども園のカリキュラムについて0歳児~5歳児の5年間の保育・教育の連続性や継続性、一貫性を意識した開発が求められると述べていますが、彼らが行った調査では、対象園のほとんどが5歳まで一貫したカリキュラムを作成しているものの、一貫した保育・教育ができるようになったとは答えていないことを明らかにしています。連携実践園では、カリキュラムを作成するものの、一貫性について課題が残っていると考えられています。さらに、3~5歳児の保育園籍の子ども(長時間児)と幼稚園籍の子ども(短時間児)が一緒にいる時間のカリキュラム内容が、認定こども園においては「幼稚園的な教育」が基盤となっている園が多いことが示されています。0~5歳の一貫性を含め、幼稚園と保育園の連続性をふまえたカリキュラムを作成し実践することが課題といえるでしょう。
 保育者が理想とするカリキュラムの在り方とその関連要因を探る研究(越中ほか,2009)をみてみると、保育園経験の長い熟練者では、保育の平等性の観点から共通カリキュラムを志向する意見や、逆に自園のほとんどが長時間児であるために新しくカリキュラムを作成する必要がないという意見がありました。一方で、幼稚園経験が中心の保育者では、新たに受け入れることとなった長時間児の心身の負担等を懸念してカリキュラムを区別すべきとする意見が多いことが明らかになっています。すなわち、保育経験や各園の実情によって認識に違いが生じていることがわかります。カリキュラムの編成においては、実践園の実状を把握し、保育者の経験を踏まえながら、そこで生活する子ども達の育ちがより豊かに支えられるものになる必要があるといえるでしょう。
 本プロジェクトでは、取り組みを通して得られた成果をもとに、共立型幼保一体化の課題に配慮した保育・教育課程の編成を試みました。

引用文献

  • 越中康治・若林紀乃・松井剛太・樟木千里・藤木大介・上田七生・長尾史英・山崎晃.(2009).認定こども園の取り組みの現状とこれからの方向を探る(4) : 保育者が理想とするカリキュラムのあり方と関連要因.日本教育心理学会総会発表論文集,51,688.
  • 岩田俊二・中井加代子・佐古真由美・伊藤遥・川島英里・蟹江真海・鈴木麻由・鈴木和香子.(2007).幼保一体化施設の運営状況一千代田区,掛川市,東員町の事例一. 三重短期大学紀要, 55,9-14.
  • 加治佐哲也・岡田美紀.(2009).認定こども園に関する全国調査①-先行事例の保育・教育と運営の活動実態―.兵庫教育大学研究紀要,1-14.
  • 奥山順子.(2015).3年保育教育課程の再編成(1)―幼稚園における保育研究の意義―.秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要,37,12-139.
  • 大西慶一.(2012).教育課程・保育課程の編成と保育内容環境 : 保育と幼・小連携における環境デザインと教育課程・保育課程編成法とその実践(課題研究 保育と幼・小教育のディジタル化の課題と実践).年会論文集,28,62-65.
  • 渡邊祐三・横松友義.(2010).実効のある保育目標及び保育全体の理論的枠組みを前提にした保育課程編成手順の開発 : 私立御南保育園でのアクション・リサーチをとおして.カリキュラム研究, 19,85-98.

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