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 本事業の目的は、幼保一体化(共立型)の在り方を実践的に検証しながら、質の高い学校教育・保育の一体的提供を目的とする保育園・幼稚園における保育・教育課程を構築すると共に、幼保連携において必要となる学生の学びと、それに応える保育者養成の在り方を提言することでした。本事業の課題は以下の通りです。

◆共立型幼保一体化システム(保育・教育課程)の構築
 本事業では子どもにふさわしい生活を基軸として、保育園児が幼稚園と行き来する生活の実践と合同保育を行いました。

《合同保育》
 合同保育では、幼稚園側が中心となっての実践となりました。振り返りにおいてもどちらかというと保育園側に得るものが多くあったという意見がありました。保幼小の連携に関する研究では、互恵性のある連携によって教職員が子どもの発達の全体像と保育・教育の内容について互いに理解し、自らの保育・教育の見直し・改善へとつなげることができるような、継続性のある取り組みができることが指摘されています(網野ら,2012)。園児数や園の規模などがアンバランスであった本事業における合同保育の場合、互恵的な関係の形成について検討していくことが、今後継続して行っていくためには必要といえます。
 また合わせて、時間の確保や場所の問題など物理的環境の確保も大きな課題です。

《預かり保育》
 預かり保育は、幼稚園がNPOに委託することで実施が可能となりました。今後、幼稚園の「預かり」として行っていくためには、幼児の実態を踏まえて保育内容を検討し、カリキュラムの編成が必要となります。また、今回は行政等からの補助金がなく利用料金の利用者(保護者)負担が大きくその意味では十分な子育て支援とはいえませんでした。今後は様々な制度を検討し、保護者により利用しやすい料金設定をすることが課題となります。
 保育園対象児の保護者からは学童保育への発展も要望として聞かれました。本事業ではNPOに委託する「預かり」を実践しましたが、ここで確立した体制は「放課後児童クラブ」や馳プランに示される「地域学校協働活動」など卒園後の児童期も対象とする新たな「預かり」としての展開の可能性もあるといえます。

《共立型幼保連携における保育・教育課程の提案》
 今回提案した保育・教育課程は本事業における成果を踏まえて試作されたものですが、特に地域との連携や小学校への接続、また3、4、5歳児に限定したもので、0歳からの発達を見通した保育・教育という点においては十分に検討することが出来ませんでした。今後はより実践的な事例を積み重ねながら洗練させることでの活用が望まれます。

◆保育者養成プログラムの提案
 保育教諭に必要とされる専門性は様々ありますが、本事業では、特に低年齢児(乳児)に焦点をあてた学びの機会を重視するカリキュラム(案)を示しました。試行する中で、このような実習の場を継続して持てるような保育現場や他の授業との調整、学生自身の省察の機会など実習後の授業の在り方なども検討していく必要性が示されました。
 また、今回は低年齢児に焦点をあてたカリキュラムでしたが、保育教諭の専門性は多岐にわたります。本事業におけるキーワードの一つは「幼保連携」でした。今後は「小学校や保育所との連携を推進する力」(文部科学省2002)にも資するカリキュラムが必要といえます。

◆全体を通して
 今回の共立型としての幼保連携は、保育園児数名が幼稚園でコアタイムを過ごし、幼稚園の預かりを保育園で担うことで全体としては互恵性が図られました。しかし、それぞれの取り組みにおいて互恵性があってはじめて共立型としての幼保連携が可能になるといえると思われます。また、幼保連携や一体化の取り組みの中で多く指摘されるのは関係性の問題です。十分な関係性を築いた後に初めて本質的な連携に取り組むことが可能になります。その意味では本事業においては、幼稚園、保育園の二者間のみならず、保護者、プロジェクトも含めたそれぞれの関係性を築くことに重点が置かれ、その先にある「連携」について議論し尽くすまでは至りませんでした。先行研究の課題としてもあがっていた幅広い年齢間の交流や、0歳から6歳までを見通した教育については課題が残されています。今後は、これまでの取り組みの中で築いていた関係性を基盤とすることでそれぞれの資源を最大限に活用し合あえる連携へ発展することが期待されます。

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