学生のみなさんへ -秋学期の開始に際して-

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新型コロナ・ウィルスの感染が収まらない中で春学期を過ごし、夏休みも明けて、秋学期を迎えようとしています。学生の皆さんは、4月から今日まで学生生活を十分楽しむことなく、過ごすことになっていると思います、まったく残念です。

10月からの新学期、気持ちを新たにして迎えてほしいと思いますが、授業は残念ながら遠隔で行うことを基本とせざるを得ませんでした。この辺の事情について、少し説明しておきたいと思います。

まず、感染は残念ながら収まっているとは言えない状況にあること、そして、みなさんには感染者にも感染源にもなってほしくないと思っていること、これが前提です。そして、そのためには、十分な感染予防体制をとる必要があり、授業の場である教室でもソーシャル・ディスタンスを十分確保する必要があります。教室の収容定員の半分か、3分の1程度で授業を行わざるを得ません。大人数の授業は、本学には大人数を収容できる教室が少ないという事情のため、遠隔を考えざるを得ません。

また、大人数の授業では、万一、感染者が出た場合には、大きなクラスター感染となる可能性があります。また、大学には履修をともにし、一緒に行動するクラスというものがないため、濃厚接触者を限定・特定することが困難で、その広がりを追うことができません。その意味でも大人数の授業は遠隔にせざるを得ません。

少人数の授業は、感染防止対策をとった上で、対面授業が可能ですが、対面授業と遠隔授業とが混在した場合、多くの科目を履修する下位学年の場合には、1日のうちで、今受けた授業は対面だったけど、次の授業は遠隔というようなことが起こります。そのため、学内に遠隔授業を受ける学生が使う教室を、ソーシャル・ディスタンスを確保しながら、一定数確保する必要が生じます。これも数と広さの限られた本学の教室事情の中で用意するのはなかなか困難です。

こうした事情の中で、秋学期も授業は遠隔で行うことを基本としたわけです。が、しかし、逆に言うなら、履修者が限られていてその範囲が明確にわかる、かつその履修者は、履修している科目が少ない(例えば、4年生のように)というような場合には、感染防止対策を十分とれば、対面での授業も可能だということです。

これまでも、こうした条件にある授業で、担当教員から感染予防対策の確認ができた授業については、対面での実施を認めてきました。今後も、こうした条件に当てはまる授業、特に卒業研究のゼミなどは、こうした条件に当てはまることが多いと思われますので、対面での実施を認めていきたいと思います。

感染者の数は一進一退ですが、医療面では、多少余裕も生まれ、ワクチンの開発についても幾分か希望が出ているようです。何度も言われていて、うんざりかもしれませんが、明けない夜はありません。必ず我々はこの危機を乗り越えます。本学の教職員は、あなた方を支援する準備はできています。なにかわからないことや不安なことなどあったら、遠慮なく相談してください。今少し辛抱してください。

東京学芸大学長
 國分 充