国立大学法人東京学芸大学における研究活動の不正へ
   の対応に関する規程

                                                          平成19年10月4日
                                                          規 程 第 31 号
                                        改正(施行)平21程23(21.7.1)
                                                    平22程24(22.6.7)
                                                    平23程14(23.4.25)
                                                    平23程21(23.10.1)
                                                    平24程16(24.5.14)
                                                    平25程19(25.5.16)
                                                    平25程25(25.6.10)
                                                    平25程31(25.12.18)
                                                    平26程25(26.6.5)
                                                    平27程4(27.4.1)
                                                    平28程2(28.1.14)
                                                    平29程14(29.5.9)
                                                    平29程22(29.6.29)
                                                    平31程27(31.4.26)
                                                    令2程20(2.5.7)
                                                    令3程15(3.4.22)
                                                    令4程18(4.4.27)
                                                    令4程32(4.7.14)

 (趣旨)
第1条 国立大学法人東京学芸大学(以下「本学」という。)において,研究活動
 を行っている者(以下「研究者」という。)の研究活動の不正への対応について
 は,「声明 科学者の行動規範―改訂版―」(平成25年1月25日日本学術会議),
 「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドラインについて」(平成
 26年8月26日文部科学大臣決定)及びその他の関係法令通知等に定めるもののほ
 か,この規程の定めるところによる。
 (定義)
第2条 この規程において使用する用語の定義は,次の各号に定めるところによる。
 (1) 「研究者」とは,本学に所属する又は本学の名を冠した肩書きを使用して研
  究活動を行う全ての者(常勤,非常勤,学生等の身分及び客員教授等の呼称を
  問わない。また,資金の主たる受給者であるかどうかも問わない。)をいう。
 (2) 「研究活動の不正行為」(以下「不正行為」という。)とは,次に掲げる行
  為をいう。
  ア 故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったこ
   とによる,次に掲げる行為
   (ア) 捏造 存在しないデータ,研究結果等を作成する行為
   (イ) 改ざん 研究資料・機器・過程を変更する操作を行い,データ,研究
    活動によって得られた結果等を真正でないものに加工する行為
   (ウ) 盗用 他の研究者のアイディア,分析・解析方法,データ,研究結果,
    論文又は用語を,当該研究者の了解又は適切な表示なく流用する行為
  イ 上記ア以外の研究活動上の不適切な行為であって,科学者の行動規範及び
   社会通念に照らして研究者倫理からの逸脱の程度が甚だしいもの
 (3) 「悪意」とは,研究者又は本学に不利益を与えることを目的とする意思をい
  う。
 (4) 「部局等」とは,事務局,経営企画室,監査室,各学系,教職大学院,大学
  院連合学校教育学研究科,附属図書館,留学生センター,保健管理センター,
  ICTセンター,学生支援センター,環境教育研究センター,特別支援教育・
  教育臨床サポートセンター,理科教員高度支援センター,先端教育人材育成推
  進機構,教育インキュベーション推進機構,放射性同位元素総合実験施設,有
  害廃棄物処理施設,各附属学校及び附属学校運営部をいう。
 (5) 「部局等の長」とは,前号の部局等の長をいう。
 (研究者等の責務)
第3条 研究者及び研究に携わる者(以下「研究者等」という。)は,不正行為や
 その他の不適切な行為を行ってはならず,また,他者による不正行為の防止に努
 めなければならない。
2 研究者等は,研究者倫理及び研究活動に係る法令等に関する研修又は科目等を
 受講しなければならない。
3 研究者等は,研究活動の正当性の証明手段を確保するとともに,第三者による
 検証可能性を担保するため,実験・観察記録ノート,実験データその他の研究資
 料等,研究に基づき外部に発表する論文及び研究成果を導出するために必要とし
 た各種データ等について,国立大学法人東京学芸大学における研究資料等の保存
 期間等に関する要項(平成28年1月14日制定)第3条に規定する保存期間の間,
 適切に保存・管理し,開示の必要性及び相当性が認められる場合には,これを開
 示しなければならない。
 (最高管理責任者)
第4条 本学に,研究倫理の向上及び不正行為の防止等に関し,大学全体を統括し,
 最終責任を負う者(以下「最高管理責任者」という。)を置き,学長をもって充
 てる。
2 最高管理責任者は,公正な研究活動を推進するために必要な措置を講じるもの
 とする。
 (研究倫理統括責任者)
第5条 本学に,最高管理責任者を補佐し,研究倫理の向上及び不正行為の防止等
 に関し,大学全体を統括する実質的な責任を負い,権限を有する者(以下「研究
 倫理統括責任者」という。)を置き,研究を所掌する副学長をもって充てる。
2 研究倫理統括責任者は,公正な研究活動を推進するために必要な大学全体の具
 体的対策を講じるとともに,不正行為に関する通報及び調査の処理を統括する。
 (研究倫理教育責任者)
第6条 研究倫理教育責任者は,部局等の長をもって充てる。
2 研究倫理教育責任者は,部局等に所属する研究者等を対象に定期的に研究倫理
 教育を実施し,受講状況を管理監督しなければならない。
 (通報窓口の設置)
第7条 本学における不正行為に関する通報又は相談を受け付けるための窓口(以
 下「通報窓口」という。)を財務・研究推進部研究・連携推進課に設置し,当該
 課長が責任者となる。
 (通報の受付体制)
第8条 不正行為の疑いがあると思料する者は,何人も,書面,FAX,電子メー
 ル,電話又は面談により,通報窓口に対して通報を行うことができる。
2 通報は,原則として,顕名により,別紙様式を提出するものとし,不正行為を
 行ったとする研究者,研究グループ等の氏名又は名称,不正行為の態様その他事
 案の内容を明示し,かつ,不正とする科学的・合理的理由を示さなければならな
 い。
3 通報窓口の責任者は,匿名による通報について,必要と認める場合には,最高
 管理責任者と協議の上,これを受け付けることができる。
4 通報窓口の責任者は,通報を受け付けたときは,速やかに、最高管理責任者及
 び研究倫理統括責任者に報告するものとする。
5 通報窓口の責任者は,通報が郵便による場合等,当該通報が受け付けられたか
 どうかについて通報者が知り得ない場合には,通報が匿名による場合を除き,通
 報者に受け付けた旨を通知するものとする。
6 新聞等の報道機関,研究者コミュニティ又はインターネット等により,不正行
 為の疑いが指摘された場合(不正行為を行ったとする研究者又は研究グループ等
 の氏名又は名称,不正行為の態様その他事案の内容が明示され,かつ,不正とす
 る合理的理由が示されている場合に限る。)は,最高管理責任者は,これを匿名
 の通報に準じて取り扱うことができる。
 (通報の相談)
第9条 不正行為の疑いがあると思料する者で,通報の是非及び手続について疑問
 がある者は,通報窓口に対して相談をすることができる。
2 通報の意思を明示しない相談があったときは,通報窓口は,その内容を確認し
 て相当の理由があると認めたときは,相談者に対して通報の意思の有無を確認す
 るものとする。
3 相談の内容が,不正行為が行われようとしている又は不正行為を求められてい
 る等であるときは,通報窓口の責任者は,最高管理責任者に報告するものとする。
4 前項の報告があったときは,最高管理責任者は,その内容を確認し,相当の理
 由があると認めたときは,その報告内容に関係する者に対して警告を行うものと
 する。
 (通報窓口の職員の義務)
第10条 通報の受付に当たっては,通報窓口の職員は,通報者及び被通報者の秘
 密の遵守その他通報者及び被通報者の保護を徹底しなければならない。
2 通報窓口の職員は,通報を受け付けるに際し,面談による場合は個室にて実施
 し,書面,FAX,電子メール,電話等による場合はその内容を他の者が同時及
 び事後に見聞できないような措置を講ずる等,適切な方法で実施しなければなら
 ない。
3 前2項の規定は,前条について準用する。
 (秘密保護義務)
第11条 この規程に定める業務に携わる全ての者は,業務上知ることのできた秘
 密を漏らしてはならない。職員等でなくなった後も、同様とする。
2 最高管理責任者は,通報者,被通報者,通報内容,調査内容及び調査経過につ
 いて,調査結果の公表に至るまで,通報者及び被通報者の意に反して外部に漏洩
 しないよう,これらの秘密の保持を徹底しなければならない。
3 最高管理責任者は,当該通報に係る事案が外部に漏洩した場合は,通報者及び
 被通報者の了解を得て,調査中にかかわらず,調査事案について公に説明するこ
 とができる。ただし,通報者又は被通報者の責に帰すべき事由により漏洩したと
 きは,当該者の了解は不要とする。
4 最高管理責任者又はその他の関係者は,通報者,被通報者,調査協力者又は関
 係者に連絡又は通知をするときは,通報者,被通報者,調査協力者及び関係者等
 の人権,名誉,プライバシー等を侵害することのないように配慮しなければなら
 ない。
 (通報者の保護)
第12条 最高管理責任者は,通報をしたことを理由とする当該通報者の職場環境
 の悪化及び差別待遇が起きないようにするために,適切な措置を講じなければな
 らない。
2 本学に所属する全ての者は,通報をしたことを理由として,当該通報者に対し
 て不利益な取扱いをしてはならない。
3 最高管理責任者は,通報者に対して不利益な取扱いを行った者がいた場合は,
 国立大学法人東京学芸大学職員就業規則(平成16年規則第5号。以下「就業規則」
 という。)その他関係諸規程に従って,その者に対して処分を課すことができる。
4 最高管理責任者は,悪意に基づく通報であることが判明しない限り,単に通報
 したことを理由に当該通報者に対して解雇,配置換え,懲戒処分,降格,減給そ
 の他当該通報者に不利益な措置等を行ってはならない。
 (被通報者の保護)
第13条 本学に所属する全ての者は,相当な理由なしに,単に通報がなされたこ
 とのみをもって,当該被通報者に対して不利益な取扱いをしてはならない。
2 最高管理責任者は,相当な理由なしに,被通報者に対して不利益な取扱いを行
 った者がいた場合は,就業規則その他関係諸規程に従って,その者に対して処分
 を課すことができる。
3 最高管理責任者は,相当な理由なしに,単に通報がなされたことのみをもって,
 当該被通報者の教育研究活動の全面的な禁止,解雇,配置換え,懲戒処分,降格,
 減給その他当該被通報者に不利益な措置等を行ってはならない。
 (悪意に基づく通報)
第14条 何人も,悪意に基づく通報を行ってはならない。本規程において,悪意
 に基づく通報とは,被通報者を陥れるため又は被通報者の研究を妨害するため等,
 専ら被通報者に何らかの不利益を与えること又は被通報者が所属する組織等に不
 利益を与えることを目的とする通報をいう。
2 最高管理責任者は,悪意に基づく通報であったことが判明した場合は,当該通
 報者の氏名の公表,懲戒処分,刑事告発その他必要な措置を講じることができる。
3 最高管理責任者は,前項の処分が課されたときは,該当する資金配分機関及び
 関係省庁に対して,その措置の内容等を通知する。
 (予備調査の実施)
第15条 第8条の規定に基づく不正行為の通報があった場合又は最高管理責任者
 が予備調査が必要であると認めた場合は,最高管理責任者は予備調査委員会を設
 置し,研究不正等の疑義が生じている研究分野の複数の関係する専門家等の協力
 を得て,速やかに予備調査を実施しなければならない。
2 予備調査委員会は,最高管理責任者が指名する3名以上の委員によって組織す
 る。ただし,委員は,通報者及び被通報者と直接の利害関係がない者とする。
3 予備調査委員会は,必要に応じて,予備調査の対象者に対して関係資料その他
 予備調査を実施する上で必要な書類等の提出を求め又は関係者のヒアリングを行
 うことができる。
4 予備調査委員会は,本調査の証拠となり得る関係書類,研究ノート,実験資料
 等を保全する措置をとることができる。
 (予備調査の方法)
第16条 予備調査委員会は,通報された不正行為が行われた可能性,通報の際に
 示された科学的理由の論理性,通報された事案の本調査における調査可能性,そ
 の他必要と認める事項について,予備調査を行う。
2 予備調査委員会は,通報がなされる前に取り下げられた論文等に対する予備調
 査を行う場合は,取り下げに至った経緯及び事情を含め,不正行為の問題として
 調査すべきものか否か調査し,判断するものとする。
 (本調査の決定)
第17条 予備調査委員会は,通報を受け付けた日から30日以内に,予備調査結果
 を最高管理責任者に報告する。
2 最高管理責任者は,予備調査結果を踏まえ,速やかに,本調査を行うか否かを
 決定する。
3 最高管理責任者は,本調査を実施することを決定したときは,通報者及び被通
 報者に対して本調査を行う旨を通知し,本調査への協力を求める。
4 最高管理責任者は,本調査を実施しないことを決定したときは,その理由を付
 して通報者に通知する。この場合には,資金配分機関,関係省庁又は通報者の求
 めがあった場合に開示することができるよう,予備調査に係る資料等を保存する
 ものとする。
5 最高管理責任者は,本調査を実施することを決定したときは,当該事案に係る
 研究費の資金配分機関及び関係省庁に,本調査を行う旨を報告するものとする。
 (調査委員会)
第18条 最高管理責任者は,本調査を実施することを決定したときは,速やかに,
 調査委員会を設置する。
2 調査委員会は,次に掲げる委員をもって組織する。ただし,委員の半数以上が
 外部の者で構成されなければならない。
 (1) 研究倫理統括責任者
 (2) 教育研究評議会評議員 1名
 (3) 被通報者が所属する又は研究活動を行う部局等の長
 (4) 事務局長
 (5) 当該事案に関する研究分野の学外研究者 若干名
 (6) 学外の弁護士又は公認会計士等 若干名
 (7) その他最高管理責任者が必要と認めた者 若干名
3 調査委員会に委員長を置き,前項第1号に定める委員をもって充てる。
4 第2項第2号の委員は,最高管理責任者が指名する。
5 第2項第5号から第7号の委員は,最高管理責任者が委嘱する。
6 第2項の委員は,通報者及び被通報者と直接の利害関係を有しない者でなけれ
 ばならない。
7 委員の任期は当該事案限りとし,再任を妨げない。
8 調査委員会は,委員の3分の2以上の出席がなければ会議を開くことができな
 い。
9 議決を要する事項については,出席委員の過半数をもって決し,可否同数のとき
 は,委員長の決するところによる。
10 調査委員会の事務は,関係部課等の協力を得て財務・研究推進部研究・連携
 推進課が処理する。
 (本調査の通知)
第19条 最高管理責任者は,調査委員会を設置したときは,調査委員会委員の氏
 名及び所属を通報者及び被通報者に通知する。被通報者が本学以外に所属してい
 る場合は,当該所属機関にも通知する。また,当該事案に係る研究に対する資金
 を配分した機関に対しても調査を行う旨を通知する。
2 前項の通知を受けた通報者又は被通報者は,当該通知日から起算して14日以内
 に,書面により,最高管理責任者に対して調査委員会委員に関する異議を申し立
 てることができる。
3 最高管理責任者は,前項の異議申立てがあった場合は,当該異議申立ての内容
 を審査し,その内容が妥当であると判断したときは,当該異議申立てに係る調査
 委員会委員を交代させるとともに,その旨を通報者及び被通報者に通知する。
 (本調査の実施)
第20条 調査委員会は,本調査の実施の決定があった日から30日以内に,本調査
 を開始する。
2 調査委員会は,通報者及び被通報者に対し,直ちに,本調査を行うことを通知
 し,調査への協力を求めるものとする。
3 調査委員会は,通報において指摘された当該研究に係る論文,実験・観察ノー
 ト,生データその他資料の精査及び関係者のヒアリング等の方法により,本調査
 を行うものとする。
4 調査委員会は,被通報者による弁明の機会を設けなければならない。
5 調査委員会は,被通報者に対し,再実験等の方法によって再現性を示すことを
 求めることができる。また,被通報者から再実験等の申し出があり,調査委員会
 がその必要性を認める場合は,それに要する期間及び機会並びに機器の使用等を
 保障するものとする。
6 通報者,被通報者及びその他当該通報に係る事案に関係する者は,調査が円滑
 に実施できるよう積極的に協力し,真実を忠実に述べる,調査委員会の本調査に
 誠実に協力しなければならない。退職後においても同様とする。
7 研究者等は,調査委員会が実施する調査に協力しなければならない。
 (本調査の対象)
第21条 本調査の対象は,通報された事案に係る研究活動のほか,調査委員会の
 判断により,本調査に関連した被通報者の他の研究を含めることができる。
 (証拠の保全)
第22条 調査委員会は,本調査を実施するに当たって,通報された事案に係る研
 究活動に関して,証拠となる資料及びその他関係書類を保全する措置をとるもの
 とする。
2 通報された事案に係る研究活動が行われた研究機関が本学でないときは,調査
 委員会は,通報された事案に係る研究活動に関して,証拠となる資料及びその他
 関係書類を保全する措置をとるよう,当該研究機関に依頼するものとする。
3 調査委員会は,前2項の措置に必要な場合を除き,被通報者の研究活動を制限
 してはならない。
 (本調査の中間報告)
第23条 最高管理責任者は,本調査の終了前であっても,通報された事案に係る
 研究活動の予算の配分又は措置をした資金配分機関又は関係省庁の求めに応じ,
 本調査の中間報告を当該資金配分機関及び関係省庁に提出するものとする。
 (調査における研究又は技術上の情報の保護)
第24条 調査委員会は,本調査に当たっては,調査対象における公表前のデータ,
 論文等の研究又は技術上秘密とすべき情報が,調査の遂行上必要な範囲外に漏洩
 することのないよう,十分配慮するものとする。
 (不正行為の疑惑への説明責任)
第25条 調査委員会の調査に対して,不正行為に係る被通報者が通報内容を否認
 する場合には,自己の責任において当該研究の科学的に適正な方法及び手続にの
 っとって行われたこと,並びに論文等もそれに基づいて適切な表現で書かれたも
 のであることを,科学的根拠を示して説明しなければならない。
2 前項の被通報者の説明において,被通報者が生データや実験・観察ノート,実
 験試料・試薬その他の研究資料等の不存在など,存在すべき基本的な要素の不足
 により証拠を示すことができない場合は合理的な保存期間を超えるときを除き,
 不正行為とみなす。ただし,被通報者が注意義務を履行していたにもかかわらず,
 その責によらない理由により,当該基本的要素を十分に示すことができなくなっ
 た場合等正当な理由があると認められる場合は,この限りでない。
3 第1項の場合において,再実験等を必要とするときは,第20条第5項の定める
 保障を与えなければならない。
4 第2項の研究資料等の保存期間等については,別に定める。
 (認定の手続)
第26条 調査委員会は,本調査を開始した日から起算して150日以内 に調査した
 内容をまとめ,不正行為が行われたか否かを判定し,不正行為と認定された場合
 はその内容及び悪質性,不正行為に関与した者とその関与の度合,不正行為と認
 定された研究に係る論文等の各著者の当該論文等及び当該研究における役割その
 他必要な事項を認定する。
2 前項に掲げる期間につき,150日以内に認定を行うことができない合理的な理
 由がある場合は,その理由及び認定の予定日を付して最高管理責任者に申し出て,
 その承認を得るものとする。
3 調査委員会は,不正行為が行われなかったと認定される場合において,調査を
 通じて通報が悪意に基づくものであると判断したときは,併せて,その旨の認定
 を行うものとする。
4 前項の認定を行うに当たっては,通報者に弁明の機会を与えなければならない。
5 調査委員会は,第1項及び第3項に定める認定が終了したときは,直ちに,最
 高管理責任者に報告しなければならない。
 (認定の方法)
第27条 調査委員会は,通報者から説明を受けるとともに,調査によって得られ
 た,物的・科学的証拠,証言,被通報者の自認等の諸証拠を総合的に判断して,
 不正行為か否かの認定を行うものとする。
2 調査委員会は,被通報者による自認を唯一の証拠として不正行為を認定するこ
 とはできない。
3 調査委員会は,被通報者の説明及びその他の証拠によって,不正行為であると
 の疑いを覆すことができないときは,不正行為と認定することができる。保存義
 務期間の範囲に属する生データ,実験・観察ノート,実験試料・試薬及び関係書
 類等の不存在等,本来存在するべき基本的な要素が不足していることにより,被
 通報者が不正行為であるとの疑いを覆すに足る証拠を示せないときも,同様とす
 る。
 (調査結果の通知及び報告)
第28条 最高管理責任者は,調査委員会の調査結果(認定を含む。)を速やかに
 通報者及び被通報者(被通報者以外で不正行為に関与したと認定された者を含む。
 以下同じ。)に通知する。被通報者が本学以外の機関に所属している場合は,当
 該所属機関にも通知する。
2 最高管理責任者は,前項の通知に加えて,調査結果を当該事案に係る資金配分
 機関及び関係省庁に報告するものとする。
3 最高管理責任者は,悪意に基づく通報との認定があった場合において,通報者
 が本学以外の機関に所属しているときは,当該所属機関にも通知する。
 (不服申立て)
第29条 不正行為が行われたものと認定された被通報者は,通知を受けた日から
 起算して14日以内に,調査委員会に対して不服申立てをすることができる。ただ
 し,その期間内であっても,同一理由による不服申立てを繰り返すことはできな
 い。
2 通報が悪意に基づくものと認定された通報者(被通報者の不服申立ての審議の
 段階で悪意に基づく通報と認定された者を含む。)は,その認定について,第1
 項の例により,不服申立てをすることができる。
3 不服申立ての審査は,調査委員会が行う。最高管理責任者は,新たに専門性を
 要する判断が必要となる場合は,調査委員の交代若しくは追加,又は調査委員会
 に代えて他の者に審査をさせるものとする。ただし,調査委員会の構成の変更等
 を行う相当の理由がないと認めるときは,この限りでない。
4 前項に定める新たな調査委員は,第18条第2項及び第3項に準じて指名すると
 ともに,第19条各項に準じた手続きを行う。
5 調査委員会は,当該事案の再調査を行うまでもなく,不服申立てを却下すべき
 ものと決定した場合には,直ちに,最高管理責任者に報告する。報告を受けた最
 高管理責任者は,不服申立人に対し,その決定を通知するものとする。その際,
 その不服申立てが当該事案の引き延ばしや認定に伴う各措置の先送りを主な目的
 とするものと調査委員会が判断した場合は,以後の不服申立てを受け付けないこ
 とを併せて通知するものとする。
6 調査委員会は,不服申立てに対して再調査を行う旨を決定した場合には,直ち
 に,最高管理責任者に報告する。報告を受けた最高管理責任者は,不服申立人に
 対し,その決定を通知するものとする。
7 最高管理責任者は,被通報者から不服申立てがあったときは通報者に対して通
 知し,通報者から不服申立てがあったときは被通報者に対して通知するものとす
 る。また,その事案に係る資金配分機関及び関係省庁に通知する。不服申立ての
 却下又は再調査開始の決定をしたときも同様とする。
 (再調査)
第30条 前条に基づく不服申立てについて,再調査を実施する決定をした場合に
 は,調査委員会は,不服申立人に対し,先の調査結果を覆すに足るものと不服申
 立人が思料する資料の提出を求め,その他当該事案の速やかな解決に向けて,再
 調査に協力することを求めるものとする。
2 前項に定める不服申立人からの協力が得られない場合には,調査委員会は,再
 調査を行うことなく手続を打ち切ることができる。その場合には,調査委員会は,
 直ちに最高管理責任者に報告する。報告を受けた最高管理責任者は,不服申立人
 に対し,その決定を通知するものとする。
3 調査委員会は,再調査を開始した場合には,その開始の日から起算して60日以
 内に,先の調査結果を覆すか否かを決定し,その結果を直ちに最高管理責任者に
 報告するものとする。ただし,60日以内に調査結果を覆すか否かの決定ができな
 い合理的な理由がある場合は,その理由及び決定予定日を付して最高管理責任者
 に申し出て,その承認を得るものとする。
4 最高管理責任者は,第2項又は第3項の報告に基づき,速やかに,再調査の結
 果を通報者,被通報者及び被通報者以外で不正行為に関与したと認定された者に
 通知するものとする。被通報者及び被通報者以外で不正行為に関与したと認定さ
 れた者が本学以外の機関に所属している場合は,その所属機関にも通知する。ま
 た,当該事案に係る資金配分機関及び関係省庁に報告する。
 (調査結果の公表)
第31条 最高管理責任者は,調査委員会において不正行為が行われたと認定がな
 された場合には,速やかに,調査結果を公表するものとする。
2 前項の公表における公表内容は,不正行為に関与した者の氏名・所属,不正行
 為の内容,本学が公表時までに行った措置の内容,調査委員会委員の氏名・所属,
 調査の方法・手順等を含むものとする。
3 前項の規定にかかわらず,不正行為があったと認定された論文等が,通報がな
 される前に取り下げられていたときは,当該不正行為に関与した者の氏名・所属
 を公表しないことができる。
4 不正行為が行われなかったとの認定がなされた場合には,原則として調査結果
 を公表しない。ただし,被通報者の名誉を回復する必要があると認められる場合,
 調査事案が外部に漏洩していた場合又は論文等に故意若しくは研究者としてわき
 まえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによるものでない誤りがあった
 場合は,調査結果を公表するものとする。
5 前項ただし書きの公表における公表内容は,不正行為がなかったこと,論文等
 に故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことに
 よるものではない誤りがあったこと,被通報者の氏名・所属,調査委員会委員の
 氏名・所属,調査の方法・手順等を含むものとする。
6 最高管理責任者は,悪意に基づく通報が行われたとの認定がなされた場合には,
 通報者の氏名・所属,悪意に基づく通報と認定した理由,調査委員会委員の氏名・
 所属,調査の方法・手順等を公表する。
 (本調査中における一時的措置)
第32条 最高管理責任者は,本調査を行うことを決定したときから調査委員会の
 調査結果の報告を受けるまでの間,被通報者に対して通報された研究費の一時的
 な支出停止等の必要な措置を講じることができる。
2 最高管理責任者は,資金配分機関又は関係機関から,被通報者の該当する研究
 費の支出停止等を命じられた場合には,それに応じた措置を講じるものとする。
 (研究費の使用の中止)
第33条 最高管理責任者は,不正行為に関与したと認定された者,不正行為が認
 定された論文等の内容に重大な責任を負う者として認定された者及び研究費の全
 部又は一部について使用上の責任を負う者として認定された者(以下「被認定者」
 という。)に対して,直ちに研究費の使用中止を命ずるものとする。
 (論文等の取下げ等の勧告)
第34条 最高管理責任者は,被認定者に対して,不正行為と認定された論文等の
 取下げ,訂正又はその他の措置を勧告するものとする。
2 被認定者は,前項の勧告を受けた日から起算して14日以内に勧告に応ずるか否
 かの意思表示を最高管理責任者に行わなければならない。
3 最高管理責任者は,被認定者が第1項の勧告に応じない場合は,その事実を公
 表するものとする。
 (不正行為が行われなかったと認定された場合の措置)
第35条 最高管理責任者は,不正行為が行われなかったものと認定された場合は,
 本調査に際してとった研究費の支出停止等の措置を解除するものとする。また,
 証拠保全の措置については,不服申立てがないまま申立期間が経過した後又は不
 服申立ての審査結果が確定した後,速やかに解除する。
2 最高管理責任者は,不正行為を行わなかったと認定された者については,その
 名誉を回復する措置及び不利益が生じないための措置を講じなければならない。
 (処分)
第36条 最高管理責任者は,本調査の結果,不正行為が行われたものと認定され
 た場合は,被認定者に対して,法令,就業規則その他関係諸規程に従って,処分
 を課すものとする。
2 最高管理責任者は,前項の処分が課されたときは,該当する資金配分機関及び
 関係省庁に対して,その処分の内容等を通知する。
 (是正措置等)
第37条 本調査の結果,不正行為が行われたものと認定された場合には,最高管
 理責任者は,必要に応じて,速やかに是正措置,再発防止措置,その他必要な環
 境整備措置(以下「是正措置等」という。)をとるものとする。
2 最高管理責任者は,関係する部局の長に対し,是正措置等をとることを命ずる
 ことができる。 
3 最高管理責任者は,第1項及び第2項に基づいてとった是正措置等の内容を,
 該当する資金配分機関及び関係省庁に対して報告するものとする。
 (規程の改廃)
第38条 この規程の改廃は,教育研究評議会の議を経て学長が定める。
 (雑則)
第39条 この規程に定めるもののほか,研究活動の不正への対応等に関し必要な
 事項は,別に定める。

   附 則
 この規程は、平成19年10月4日から施行する。

   附 則(平22程24)(抄)
 平成22年4月1日から適用する。

   附 則(平23程14)(抄)
 平成23年4月1日から適用する。

   附 則(平24程16)(抄)
 平成24年4月1日から適用する。

   附 則(平25程19)(抄)
 平成25年4月1日から適用する。

      附 則(平25程25)(抄)
 平成25年4月1日から適用する。

   附 則(平25程31)(抄)
 平成25年11月1日から適用する。

   附 則(平26程25)(抄)
 平成26年4月1日から適用する。

   附 則(平29程14)(抄)
 平成29年4月1日から適用する。

   附 則(平31程27)(抄)
 平成31年4月1日から適用する。

   附 則(令2程20)(抄)
 令和2年4月1日から適用する。

   附 則(令3程15)(抄)
 令和3年4月1日から適用する。

   附 則(令4程18)(抄)
 令和4年4月1日から適用する。

  別紙様式(PDF形式)