学校安全・危機管理の現在


 ここ数年,学校安全や危機管理に関わる教育・研究に携わることが多くなりました。子どもたちの周辺には様々な危険が存在し、実際に子どもたちが事件・事故に巻き込まれることもまれではありません。学校生活や家庭生活における事故・災害以外にも、交通事故、地震等の自然災害、さらには犯罪による被害など様々な危険が子どもたちを取り巻いているのが現状です。
 そのような中で,学校はもちろん,地域や家庭が何ができるのか,考えていきたいと思っています。

最近の学校安全・危機管理に関する活動および情報提供

 東日本大震災についての報道は様々なメディアが行っていますが、河北新報(本社、仙台市)の2011年12月15日〜19日の発行紙に掲載された「学校避難の教訓」は、学校関係者にはぜひ読んでいただきたい内容です。被災3県で死亡・行方不明になった児童生徒の約3分の1が、保護者に引き渡した後に被災したことが明らかになりました。災害発生直後に正確な情報を得ること、またそれに基づいて迅速かつ的確な避難を決定することの困難さと重要性がよくわかる内容です。

 教育開発研究所「別冊教職研修」2011年11月号に「東日本大震災と防災教育の見直し」が掲載されました。

 「東日本大震災を受けた防災教育・防災管理等に関する有識者会議」における中間とりまとめが、2011年9月30日に公表されました。1.東日本大震災における地震・津波被害を踏まえた課題、2.今後の防災教育・防災管理の考え方と施策の方向性 の内容から構成されています。また文科省は、学校安全の推進に関する計画の策定について、中央教育審議会に諮問しました。今後具体的な取組が明らかになると思います。 


 大修館書店「体育科教育」2011年8月号の特集「東日本大震災と学校保健」に、「学校における防災教育の課題と展望」が掲載されました。

 教育開発研究所「月刊教職研修」2011年6月号に「今回の災害を子どもたちにどう伝えるか」が掲載されました。

 教育展望 2011年3月号に「児童生徒の生命・身体危機管理」が掲載されました。

 文部科学省より「学校安全参考資料 『生きる力』をはぐくむ学校での安全教育」が発刊されました。
  今回作成協力者会議の座長として作成にあたりましたが,2001年の旧版を大幅に改訂しています。
  近く全国の学校へ配布されます。今後の学校安全活動の基礎となるものです。

 「健康教室」(東山書房)2010年9月号に,「学校安全,危機管理における養護教諭の役割」が掲載されました。


日本安全教育学会の機関紙「安全教育学研究」第10巻に,原著論文「小学生を対象とした危険予測能力・危険回避能力の評価法の開発」が掲載されました。筆頭執筆者の原洋子先生は,この研究によって,平成22年度研究奨励賞を受賞しました。

 
「安全教育ニュース」(少年写真新聞社)2010年4月号より,「安全教育の未来」を連載しています。


 
中等教育資料の平成21年1月号に「危険予測・回避の能力を身に付ける」を掲載しました。

 
2007年に独立行政法人教員研修センター「教育課題研修指導者海外派遣プログラム」で視察を行ったニュージーランドの学校について論文にまとめました。
「ニュージーランドにおけるセーフスクールの目的と活動」
東京学芸大学紀要(芸術・スポーツ科学系)第60集(2008年10月)です。


 
2008年1月に
教育開発研究所から編著書「新編学校の危機管理読本」を発刊しました。学校安全はもちろん情報セキュリティや自殺防止なども含まれています。執筆いただいた先生方に感謝いたします
  第1章 子どもと学校の危機―その現状と課題
  第2章 危険回避と危機への備え
  第3章 危機発生時および事後対応
  第4章 学校における危機管理の実際
  第5章 教育委員会や関係機関・団体との連携


  
詳しくはこちらへ

 文部科学省による新しい危機管理マニュアル「学校の危機管理マニュアル―子どもを犯罪から守るために―」が2007年11月に完成しました。今回作成協力者会議の座長として作成にあたりましたが,通学路の安全を含めた内容を含む,最新の情報が盛り込まれています。 詳細は文部科学省の下記ホームページまで
               
URL http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/01/08011119.htm

 2007年10月13日から23日まで,独立行政法人教員研修センターによる教育課題研修指導者海外派遣プログラム安全に関する教育」のシニアアドバイザーとして,ニュージーランドの行政機関,学校,NPO等を視察してきました。
セーフスクールなど興味深い活動を視察してきましたが,いずれ報告書はネット上で紹介できると思います。

2007年5月に光文書院から「ワークシートで身につける!子どもの危険予測・回避能力」を発刊しました。
 
  この本は 第1章 不審者対策の基本的な考え方と進め方
         第2章 学校における不審者対策  
         第3章 通学路における不審者対策
         第4章 家庭や地域における不審者対策
         第5章 資料編
  で構成されています。 第2章〜第5章には教師用Q&Aと児童用Q&Aを用意しました。
  児童用Q&Aはそのまま使えるワークシートとなっています。 詳しくはこちらへ 
  

『こどもと保健』No.59(光文書院)に「危険予測・回避能力を養う効果的な指導」を掲載しました。

 独立行政法人教員研修センターの実施する研修事業に関する海外派遣事業として,イギリスの安全教育の視察に行ってきました(3月14日から23日まで)。報告書が公表されましたら,このHPでお知らせします。


『VPRESS』Vol.5(光文書院)に「学校・地域における不審者対策」が掲載されました。

 これまでもお知らせしてきた総務省「安心・安全な社会の実現に向けた情報通信技術のあり方に関する調査研究会」最終報告書が3月19日付で発表されました。
URLは http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/070319_3.html#bs2 です。

 独立行政法人日本スポーツ振興センターより発刊された「学校の管理下の死亡・障害事例と事故防止の留意点(平成18年版)」の「学校生活における事故防止の留意点 中学校編」を執筆しました。

平成18年7月以降
 平成19年1月5日から「子ども見守りナビ」(文部科学省生涯学習政策局)が公開されています。これは私が主査を務めました「地域で子どもを見守る全国ネットワークシステム検討会」が進めてきたプロジェクトで,全国各地で実施されている地域社会主体の子ども見守り活動をデータベース化したものです。利用者は自身の地域の特性に合った実践を検索することが可能です。ぜひご活用ください。URLは http://www.mimamoru.jp/ です。

 総務省で「安心・安全な社会の実現に向けた情報通信技術のあり方に関する調査研究会」報告書(案)に対する意見募集をしています。この調査研究会の児童・高齢者WGでは私が座長を務めました。ぜひご覧いただき,ご意見をお寄せ下さい。締め切りは1月26日となっています。URL http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/061226_9.html

 月刊『悠』12月号(ぎょうせい)に「子どもの安全確保と学校の役割」が掲載されました。

 香川県と愛知県で開催された「ボランティア活動推進フォーラム」に基調講演講師(香川県),コメンテーター(愛知県)として参加してきました。地域ボランティアによる子どもの見守り活動は,着実に地域で定着し始めているようです。特に印象に残ったのが愛知県での実践として紹介された大学生による子ども見守り隊「守るんジャー」でした。講義の空き時間を利用して大学生が,大学周辺の小学校へ通う児童を見守る活動を自主的に行っているというもので,大変素晴らしいと思いました。愛知県以外にも高知県など他県でも行われているようです。大学がある地域に限定されてしまいますが,どんどん広がることを期待したいと思います。

平成18年5月以降
 最近,卓上訓練(Tabletop Exercise)に関心を持ってくれる学校関係者が増えました。今年4月に発刊した『学校安全と危機管理』でも方法を紹介していますが,まだまだ改良が必要かなと思っています。また児童生徒用の教材としても応用を進めていきたいと思っています。

 『教育と医学』8月号に,「今、学校に求められる安全対策は何か」が掲載されました。

 『教職研修』8月号に,巻頭論文「子どもの安全と学校・地域の役割」が掲載されました。

 『文部科学時報』7月号の特集「未来を担う子どもたちの安全のために」で,私が出席した座談会「子どもたちの安全確保」が紹介されました。

 日本教育新聞に「実践!安全教育」の連載を始めました。7月10日が第1回目で,10回掲載される予定です。

 総務省から「安心・安全な社会の実現に向けた情報通信技術のあり方に関する調査研究会」中間とりまとめが発表されました。私は調査研究会内の3つのワーキング・グループのうち「児童・高齢者などの市民生活支援分野WG」の主査を務めています。中間とりまとめはホームページ上で公開されていますが,特に未来の安全社会を想定したショートストーリーは必見です!


平成18年4月以降

 『教育展望』4月号に,「子どもの安全確保と学校危機管理―課題と取組ー」が掲載されました。

 私が作成協力者会議の座長を務めました『学校における防犯教室実践事例集』が文部科学省から発刊されました。すでに各学校に配布されていると思います。

 昨年12月に東京都内の公立学校を対象とした防犯防災教育についての実態調査を実施しました。ご協力いただいた学校の皆様には御礼申し上げます。なおメールアドレスを知らせていただいた学校にはすでに結果をご報告いたしましたが,宛先不明で戻ってきたメールも少なくなく,改めてこの場でご報告いたします。
 速報版はこちら 防犯防災教育調査結果(速報)

 『時の動き』(内閣府編集)4月号の政策フラッシュ「子どもを犯罪から守る」内の<識者の声>にインタビュー記事が掲載されました。なおこの特集では子どもの安全確保に関する国の施策がとてもわかりやすく解説されています。

 大修館書店より『学校安全と危機管理』(編著)を発刊しました。防犯のみならず防災や交通安全も含めて,学校を中心とした子どもの安全確保の考え方・進め方を解説しています。教職員はもちろん,教員志望の学生向けでもあります。主な内容について,本書の「おわりに」から引用します。
「本書は大きく4つの内容からなりたっている。第T部は安全や危険,および学校安全の概念についてまとめてある。従来の学校安全の考え方だけではなく,セーフティ・プロモーションやセーフ・スクールといった世界の新しい動きについても触れている。第U部では,子どもたちを脅かす事件・事故および傷害について,交通事故,自然災害,犯罪被害などの視点から,それらの実態と取り組むべき課題について解説した。第V部では学校安全の実際について,安全管理と安全教育の両面から紹介した。ここでは学校安全の重要な課題の一つであるスポーツ傷害も取り上げた。第W部では教職員の役割について解説した。応急手当,心のケア,疾病等の健康危機管理,さらには教職員が知っておくべき学校事故の法的問題などを取り上げた。またここで紹介している卓上訓練を中心とした教職員研修は,学校で容易に導入できる内容である。巻末資料では,不審者侵入時の対応例など文部科学省による資料や,安全教育の指導案など有益な情報を紹介している。」
  大修館書店のホームページはこちらへ 


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