理科のありか

「教え方」を学ぶ
基礎生物学実験の試行と実施
担当:高森久樹・岩元明敏
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「教え方」を学ぶ基礎生物学実験の試行と実施
実施日:2007年10月〜2008年2月
「教え方」を学ぶ基礎生物学実験の試行と実施

 これまでも生物学実験においては、種々の生物に接し生物の多様性とその中にある共通性を理解し、生命現象を科学的に観察する能力を習得することによって教師となった際の授業実践力を獲得することを目指してきた。今回さらに教職をめざす学生を対象として初等中等教育との結びつきを意識した課題を取り入れた実践授業を試行することを目的とした。この目的を達成するために、具体的には(1)顕微鏡の使用を中心とした生物観察技術の習得とデジタル教材開発の試行、(2)身近な生物(植物)を利用した実習の実践と実習案の作成の2つの取り組みを行った。

1.顕微鏡の使用を中心とした生物観察技術の習得とデジタル教材開発の試行
 顕微鏡とルーペの使い方に関する実験を行った(図1)。この授業では、本取り組みのために購入した顕微鏡画像撮影・投影装置を用いて顕微鏡の使い方について説明を行うことにより、従来よりもわかりやすい授業となった(授業後に実施したアンケート結果より)。
 さらに撮影装置を利用して、「微小生物の観察」を試行した。この授業でも、購入した顕微鏡画像撮影・投影装置を用いてわかりやすい説明を目指した。また、学生に顕微鏡写真を撮影させることにより、大学構内の池などに生息する微小生物の写真リストを作成した(図2)。
撮影した写真はCD-Rに焼き付けて身近なプランクトン図鑑として配布した。今後、生徒がデジタルコンテンツを利用した教材作りを行う際の実践例となると考えられる。

2.身近な生物(植物)を利用した実習の実践と実習案の作成
 この授業では、東京学芸大学構内の植物を利用し、学生が植物を採集するところから、図鑑による同定、標本作製までを全て行うことで、身近な生物を利用して生物の多様性を学ぶことを目的とした(図3)また、この実践授業を参考に、学生に自分が教員になった際におこなってみたい、生物の採集、観察を取り入れた授業についての簡単な授業案をまとめるという課題を出し、学生の授業に対する意識の向上を図った。
今回試行した実践授業は、採集、観察の経験を教員になってからの理科授業に生かせる実践力をつけることを目的としていたが、アンケートの結果によれば今後教員になって野外生物の観察や採集を行う場合の参考になると答えた回答が、約9割(89%)になるなど、一定の成果が得られた。