理科のありか

曇った日でも望遠鏡
担当:西浦慎悟
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実施日:2007年10月〜2008年2月
曇った日でも望遠鏡

 天文分野は「天体の動きや月の満ち欠けの理解が難しい」との理由で、小学校の先生が最も苦手とする単元の一つになっているらしい。昼間に太陽や月をしばらく追うだけでも、その理解の一助になるはずだが、そのためには天体望遠鏡という小道具が必要となる。しかも天体望遠鏡は使い方が面倒であり、ただ天文学を学んだだけでは使えない。本学の「地学実験」では、理科選修・専攻の1年生を対象に天体望遠鏡を用いた実験を行ってはいるが、従来の太陽黒点の観察は、太陽の静穏期や曇天・雨天時には行えない。重要なことは、天体望遠鏡の1)組み立て、2)セッティング、3)操作の体験であり、天体を観察することでは無い。そこで昨年度は「天体望遠鏡を使って遠方物体までの距離を導出する」という実験テーマを考案、実施した。遠方物体の実サイズをR、そこまでの距離をD、遠方物体の見かけの大きさ(視角)をθとすると、D=R/θとなる(図1上図)。ただし天体望遠鏡の視野内に見える物体の視角を得るため、予め実サイズR0と距離D0、視角θ0が既知の物体を観察しておく必要がある(図1下図)。天体望遠鏡を組み立て、各種セッティングの後、操作、目標となる物体を視野内に捉える、この一連の作業で、天体望遠鏡を扱うためのほとんど全ての過程が含まれている(図2)。なお、今回は学芸大屋上から国分寺駅の駅ビル(図3)までの距離を導出しているが1000数十mで、測定誤差数10mという結果が得られている。この値は地図上での測定値と矛盾しない。