理科のありか

星座早見盤と小型地球儀を用いた
天文学の理解
〜理科は暗記科目にあらず〜
担当者:西浦慎悟
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地学実験
星座早見盤と小型地球儀を用いた天文学の理解〜理科は暗記科目にあらず〜
2008年4月〜2008年7月
地球の大きさを測る —地学実験における新しいテーマ設定—

  今さら強調するほどのことではないが、現行の小学校学習指導要領の第2章第4節の第1「目標」には『自然に親しみ,見通しをもって観察,実験などを行い,問題解決の能力と自然を愛する心情を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を図り,科学的な見方や考え方を養う。』という文言が記されています。語弊を恐れずに端的に言えば、小学校理科の目標は『観察・実験を通して、子供の科学的な思考力を養うこと』にあると言える。決して「自然科学に関する知識を身に付けること」という意味は含まれていないと言えます。しかしながら、筆者(西浦)が一部を担当した2008年度前学期「基礎理科D」において、81名の大学生に質問したところ、8割もの大学生が理科(特に天文学領域)の役目として何らかの「知識を教えること」を掲げました。ちなみに『子供の科学的な思考力を養う』ことに相当する回答をした大学生は皆無でした。

  これは、学部3年生の時点で既に、小学校における理科は知識を教える科目、すなわち暗記科目であるという先入観を持っていることを示唆しています。そこでまず、この固定観念を覆すため、改めて学習指導要領の本文を示して、その目標を再認識させました。また大学生達が、小学生には難しいと考える学習内容の多くは、実際には自分達(つまり教員自身)が理解できないための先入観であり、定性的な内容であれば小学生は多少高度な内容さえ理解し得る例を示しました。そして最終的には日常の自然現象に潜む高度な疑問を、既知の知識(小学校高学年程度)で理解できる例を示しました。特に天文学領域に関しては、言葉のみで伝えることが難しい概念が度々現れます。そこでそれを補助する安価な教具として、星座早見盤(400円~)と小型地球儀(105円~)を紹介し、これらを実際に利用し問題解決を試みさせました。大学生のレポートから確認したところ、これによって半数以上の大学生が問題解決を図ることができたと思われます。