理科のありか

理科GPについて

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■ プロジェクトの背景
少子化が進む中で,科学技術創造立国としての日本を支える次代の日本人を育てるためには,義務教育段階での理科教育を充実させ,すべての児童・生徒の科学的素養を高める必要があります。しかし,長年の問題となっている「理科嫌い・理科離れ」は払拭されるどころか,むしろ「理科離れ」が小学校段階ですでに始まり,学年の進行とともに増えているのが現状です。
小学校では,基本的に1人の教員が全教科を担当するので,理科を専攻してこなかった教員も理科を教える必要があります。しかしながら,ほとんどの小学校教員は非理科系出身者です。もちろん,非理科系出身でも理科を得意とする教員も少なからずいるのですが,教員の多くは実験・観察を中心とする理科授業に不安を感じていることが調査結果で示されています。教員の理科に対する苦手意識が児童・生徒に伝播し,「理科離れ」の一因になっているともいわれています。
このような負の連鎖を断ち切るためには,すべての小学校教員が理科を確実に教えられるだけの授業力を身に付ける必要があります。その実現のためには,教員養成大学が,実験・観察力を含む確かな理科教育力を,小学校教員養成課程の全学生に身につけさせねばなりません。それによって次代を担う小学校教員の質を向上させることにより,子どもたちの「理科離れ」に歯止めをかけねばなりません。

■ プロジェクトの目的
上記の考えに基づいて実施するのが,本プロジェクトです。もちろん,実験・観察を教えるためのあらゆるテクニックを非理科生(理科を専攻しない学生)にも身に付けさせるなどということはできません。大事なことは,教員になってから,自学で実験・観察授業を運営できるだけの確かな基礎となる実験・観察の技能と知識を,学生時代に獲得することではないでしょうか。そのような,いうならば,教員になってから開花し実を結ぶための「種」を,小学校の先生を目指す学生すべてにまくことを,このプロジェクトで実現していきたいと考えています。そのための柱として,次の4つの理念を本プロジェクトでは掲げます。

  1. ) 理科としての「ものづくり」ができること
  2. ) 薬品の取扱い,安全対策が確実にできること
  3. ) 責任を持って生命を育てることができること
  4. ) 五感を活かした野外実習・観察ができること

教員も学生も,この4つの理念を常に念頭に置いてプロジェクト事業に参加していけば,必ずや理科授業力の飛躍的な向上が果たせるものと確信しています。

■ 教員研修との連携
東京学芸大学では「理科への苦手意識」を持つ現職教員のための研修を毎年数多く行ってきています。研修内容は授業に活用できる実践的なものですが,これら教員研修での指導経験の蓄積は必ずしも大学のカリキュラムに活用されてはいませんでした。
本プロジェクトで行う非理科生必修の理科授業や「小学校教員になる人のための理科特別講座」には,現職教員研修で有効であった内容を大幅に取り入れています。また,本プロジェクトで行われる学生のための教育を教員研修へフィードバックさせ,教員養成授業と現職研修との効果的な連携を図ることも,本プロジェクトの特徴のひとつです(下図参照)。

プロジェクトの概要図

■プロジェクトの運営
この事業は,東京学芸大学の理科担当教員が中心となって全学的に推進するものです。具体的な事業内容の検討や企画運営は,下記のメンバーで構成される「理科教育推進委員会」が中心となって行っています。

理科教育推進委員会委員
     荒川 悦雄(物理科学)
生尾 光(分子化学)
     岩元 明敏(生命科学)
     小川 治雄(分子化学)
金沢 育三(物理科学,学系長)
     鎌田 正裕(理科教育学)
     鴨 川 仁(物理科学)
     里 嘉千茂(宇宙地球科学)
     下条 知淑(附属小金井小学校)
     高 橋 修(宇宙地球科学)
     高森 久樹(生命科学)
     傳幸 朝香(附属小金井小学校)
     中 西 史(生命科学,副委員長)
     中部 喜和(専門研究員)
     新田 英雄(物理科学,委員長)
     長谷川 正(分子化学,副学長)
     平田 昭雄(理科教育学)
     三井 寿哉(附属小金井小学校)
     吉原 伸敏(分子化学)

文責 新田英雄