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「ハシブトガラスとハシボソガラス」担当者:平田昭雄

東京学芸大学の小金井キャンパスでは,ハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)とハシボソガラス(Corvus corone)の2種のカラスに遭遇します。ハシブトガラス(下図左)は額が出っ張り上嘴が著しく湾曲した大型(L:56㎝,W:105㎝)のカラス,ハシボソガラス(下図右)はこれに比べて若干小型(L:50㎝,W:99㎝)で額がすんなりとし,嘴は細くて湾曲していないカラスです。ハシブトガラスは「カー」と澄んだ声で鳴き,ハシボソガラスは「ガー」とか「クァー」と濁った声で鳴きます。ハシブトガラスは典型的な都市型環境適応種で,東京都内では23区内に多く,とくに渋谷,新宿,池袋といった山手線沿線の建物の密集した地域ではほとんどのカラスはこの種とされています。一方,ハシボソガラス(Corvus corone)の方は,比較的野性味の強く残っている種といわれ,今日では大分都市域でも生息するようになりましたが,本来は自然環境の豊かなところに多く生息していた種です。現に,小金井キャンパスで見かけるハシボソガラスのほとんどは小金井キャンパスに棲んでいると考えられるのに対し,ハシブトガラスの方は,そのほとんどが,単独あるいは2,3羽で連れ立って,学外の何処か(おそらくは東の都心部の方)から飛来したものと考えられます。

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「マガモとカルガモ」 担当者:平田昭雄

 マガモ(Anas platyrhynchos)とカルガモ(Anas poecilorhyncha)は,日本で見かける鴨の代表格ともいえる種です。いずれも体長が60㎝程度のガンカモ目ガンカモ科の水面採餌鴨ですが,マガモの方は大部分が冬鳥で,日本では冬にしか見かけません。一方,カルガモは全国の川、湖、池などに留鳥として棲み,年間を通して見かける機会に恵まれます。マガモは雄と雌とで色が異なります。雄は頭と頸が緑色で嘴が黄緑色,白い頸輪,葡萄色の胸,灰白色の体と目立つ姿をしていますが,雌は至って地味です。これに対してカルガモは,雄も雌も同じように地味です。黒褐色の過眼線と先端が橙黄色の黒い嘴がカルガモの識別ポイントとなります。

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「緊急地震速報って何?」担当者:里 嘉千茂

最近よく「緊急地震速報」という言葉を見聞きするという人も多いと思いますが,これって何でしょうか? 「緊急地震速報」は,地震そのものの発生を予知・予測して知らせるものではなく,地震による強い揺れを事前に予測してアナウンスし被害を軽減することを目的に,気象庁が2007年10月1日に本格的運用をスタートしたものです。 地震の揺れは震源から波(地震波)として伝わりますが,この地震波には主にP波とS波の2種類があります(図1)。被害をもたらす主な波であるS波はP波よりも遅れて伝わるので,震源近くの観測点でキャッチしたP波のデータを使って各地にS波が到着する前に到着までの時間や揺れの程度を予測し,社会へ知らせるものが「緊急地震速報」です(図2)。ただし,この速報が間に合わない場合や予測値がずれる場合もありますので,注意する必要があります。 「緊急地震速報」を有効に活用するには,この速報に接した際に適切に行動できるよう日頃から学校や家庭等で話し合ったり訓練しておくことが大切です。 なお,緊急地震速報の詳細については気象庁のウェブサイト等をご覧下さい。

理科TIPSロゴマーク「白鳥が北の空から渡って来ます」担当者:平田昭雄

 木枯らしが吹くと,北関東には白鳥の群れが飛来し始めます。日本で観察記録が残っている白鳥は,大きい順にコブハクチョウ(Cygnus olor),オオハクチョウ(Cygnus cygnus),コハクチョウ(Cygnus columbianus)の3種ですが,コブハクチョウは八丈島で迷鳥として1回記録されただけで,基本的には日本列島には渡来しないとされています。(ただし,近年,各地の動物園や公園で飼育されていたものが逃げ出して飛来する例が多発しているようです。)したがって,日本ではオオハクチョウ(写真1)が,ガンカモ目ガンカモ科で最大の野鳥ということになります。その全長(嘴の先から尾羽の先までの長さ)は約140㎝,翼開長は約240㎝にも及びます。冬鳥として渡来し,広い湖沼,河川,河口,内湾に生息して「コホー コホー」と通る声で鳴きます。日本で暮らす冬の間は,親と数羽の若鳥で構成される家族群で行動します。「白鳥」の名の通り全身白色ですが,目と嘴の先端,それに脚は,黒色です。嘴の基部には大きな黄斑(コハクチョウより大きい)が目立ちます(写真2)。なお若鳥は,お世辞にも白色とは言い難い鼠色(灰褐色)の羽毛で全身が覆われています。

理科TIPSロゴマーク「9Vの電圧が出せる電池の秘密」担当者:鎌田正裕

006Pと呼ばれている箱形の乾電池(写真1)の電圧は9Vです。同じ種類の乾電池でも円筒の形をした単1や単3形乾電池では1.5Vしか出ないのに、どうして箱形のものはそんなに高い電圧を出せるのでしょうか? 9Vと1.5Vという数字を見て気づいた人もいると思います。この箱形の電池の中には単4形乾電池をさらに小さくしたような筒状の電池が6本入っているのです(写真2)。そして、これら6本の電池をていねいに広げてやると、直列につながれていることがわかります(写真3)。このことを知っていると、子どもたちに乾電池の直列つなぎの用途を説明するときに役立ちます。   実際に006Pを分解して子どもに見せる際には、以下のことに気をつけてください。 ・このような構造をしているのは、型番が6LR61と記されたアルカリマンガン乾電池だけで(写真4)、通常のマンガン乾電池や、アルカリマンガン乾電池でも6LF・・と記されているものはこのような構造にはなっていません。 ・正しくない取り扱い方(充電・ショートなど)を経験した006Pは、分解時に破裂することがあるので使わないでください。 ・円筒形の電池の内部には強いアルカリの水溶液が入っています。一つ一つの電池は決して分解しないでください。(同じ理由で、単1や単3形のアルカリマンガン乾電池も絶対に分解しないでください)。 写真1 箱形のアルカリマンガン乾電池 写真2 箱型乾電池の内部の様子 写真3 円筒形乾電池のつなぎ方 写真4 電池の側面に記された型番

理科TIPSロゴマーク「コイン・ボタン型電池に付けられている英数字の意味は何?」担当者:鎌田正裕

  理科の教科書に登場する電池といえば、単1や単3のように筒型の乾電池がほとんどですが、日常生活の中ではコイン型やボタン型の電池をよく目にします。また、新しい学習指導要領では第4学年で発光ダイオードが積極的に使われるようになるので、ものづくりなどの中でコイン型のリチウム電池が登場する場面は増えると考えられます。これらの電池には、たとえばCR2032のような英数字からなる型番が付けられていますが(写真1)、これらの型番の意味を知っていますか? これらの型番の付け方には簡単なきまりがあります。まず、CR2032のようにアルファベット2文字と4桁の数字からなる型番では以下のようなきまりがあります。 アルファベットの最初の1文字目  C:リチウム電池 L:アルカリ電池 S:酸化銀電池 P:空気亜鉛電池 (電池の電圧は最初の1文字で決まります。C=3V, L=1.5V, S=1.55V , P=1.4V) アルファベットの2文字目  R:丸型 F:角型 4桁の数字のうち、上2桁:直径(mm単位) 4桁の数字のうち、下2桁:厚さ(0.1mm単位) したがって、CR2032は、丸いコイン型のリチウム電池で、直径が20mm、厚さが3.2mmであることを意味しています。CR2016であれば、CR2032と直径は同じで厚さがちょうど半分になります(写真2)。なお、これ以外に、LR44のように、数字が2~3桁しかないものもありますが、こちらは上で述べたものとは別の規格で、よく登場する数値には以下のようなものがあります。 41:直径7.9mm 厚さ3.6mm  43:直径11.6mm 厚さ4.2mm 44:直径11.6m 厚さ5.4mm 48:直径7.9mm 厚さ5.4mm 521:直径5.8mm 厚さ2.15mm  写真1 CR2032 写真2 CR2032(左)とCR2016(右)

理科TIPSロゴマーク「断層の基本型」文責:里嘉千茂

 「地震・雷・火事・親父」と昔から怖いものの筆頭に挙げられる地震ですが,その正体は地下の岩盤内における断層運動です。断層運動とは,岩盤がある面(断層面)を境にしてその両側で急激に「ずれる」ような運動をするものです。  このずれ方によって,断層はまず横ずれ断層と縦ずれ断層の2種類に分けられます。さらに,それぞれは,右ずれ断層と左ずれ断層(図1),正断層と逆断層(図2)に分けられ,計4つの基本型があります。横ずれ断層では岩盤のずれる方向が水平で,断層面の両側が互いに右(または左)方向にずれるのが右(または左)ずれ断層です。一方,縦ずれ断層では岩盤のずれが上下方向の成分をもち,断層面より斜め上側の岩盤がずれ落ちる(またはずれ上がる)場合が正断層(または逆断層)です。 実際の地震では,たとえば1995年の兵庫県南部地震は右ずれ断層と逆断層が組み合わされた断層運動によるものでしたが,この地震のように浅くて大きい地震の場合は地表でも断層による地面のずれが観察できることがあります

理科TIPSロゴマーク「野鳥観察用の双眼鏡の選び方と使い方」文責:高森久樹

 双眼鏡本体のどこかに6×25や8×35などと書いてありますが、最初の数字は倍率を、後の数字は対物レンズ口径(直径、単位はmm)を表しています。口径が大きいほど明るくなりますがそのかわり重くなります。本格的な野鳥観察には口径が30mm以上の明るいものが良いですが、携帯用には25mm程度の小型のものが適しています。また、手持ちで使用する野鳥観察には、6倍から10倍までの倍率が適しています。  使用する前に眼幅を調節します。次に左目だけを開けて中央の焦点合わせリングで目標に焦点を合わせます。さらに右目だけを開けて右の接眼レンズ周りの視度調節リングを回して同じ目標に焦点を合わせ、視度調節を行います。  慣れないうちは、小鳥などの小さな目標は視野に入れるのに苦労します。そこで目標を素早く視野に入れる方法を紹介します。まず、双眼鏡をおろした姿勢で目標に体を正対させ両目でまっすぐ見つめます。次に目標を見つめたまま双眼鏡を目の位置に持って行きます。この練習を繰り返すと小さな鳥でも素早く視野に入れることができるようになります。

理科TIPSロゴマーク「顕微鏡シリーズ(2)対物レンズの正しい替え方」文責:岩元明敏

 顕微鏡シリーズの2回目は、前回に引き続き対物レンズが交換できる顕微鏡を対象にした正しい使い方のヒントです。対物レンズが交換できる顕微鏡では、熱心な生徒はレンズをくるくると替えて倍率の違いによる試料の見え方に驚嘆します。しかし、そのレンズの替え方は正しいでしょうか? よく生徒の手元を見てあげて下さい。写真の「×」の例のように対物レンズの筒の部分を持って回していませんか? このように回すとレンズと回転板(レボルバー)の接合に歪みや傷が生じたり、レンズそのものにも歪みが生じて故障を引き起こす可能性があります。また、指を滑らせて対物レンズのレンズ部分にさわってしまうこともあります。対物レンズを替えるときには必ず写真の「○」の例のように、回転板を持って回すようにしましょう。ちょっとした注意で顕微鏡の寿命はぐんと延びます。

理科TIPSロゴマーク「顕微鏡シリーズ(1)プレパラートのセットと対物レンズ」文責:岩元明敏

 新しい指導要領では小学校の理科の授業でも顕微鏡が必修となります。しかし、理科室の片隅に埃をかぶっていて良く使い方が分からない、という学校も少なくないのではないでしょうか。この理科TIPSでは数回に分けて顕微鏡の正しい使い方について、特に生徒が顕微鏡を壊す原因になりやすい部分から説明していきたいと思います。初回は、プレパラートのセットの仕方です。対物レンズを交換できるタイプの顕微鏡では、生徒に何も指示せずにプレパラートをセットさせると、写真の誤った例(×)のように、対物レンズの倍率が大きいレンズにしたままセットしてしまうことがあります。しかし、このようなセット方法では対物レンズの先に指やプレパラートが接触する可能性が高く、レンズが汚れたり傷ついたりする危険があります。また、セット後、高い倍率の対物レンズのままいきなり観察をして、レンズをプレパラートにぶつけることも多くなります。生徒にプレパラートをセットさせるときには、必ず対物レンズが一番小さいもの(大抵は4倍)にしていることを確認させてからにしましょう(写真の「○」の例)。低倍率のレンズにしておけば、その後の観察でもプレパラートとレンズがぶつかることもまずありません。安全に観察を始めることができます。

理科TIPSロゴマーク「ドバトは野鳥ではありません,(残念ながら)野生化した家畜鳩です」
文責:平田昭雄

 日本中の市街地の駅や公園にいる鳩の多くはドバトと呼ばれる家畜鳩が野生化したもので,野鳥(野生種)ではありません。野鳥観察の際には対象外ですので気をつけましょう。
 ところで,ドバトは色も形も様々です。これは人間が鳩レースに強い個体を求めて何代にも渡って交配・飼育を重ねてきた結果といえます。金魚やニワトリ,猫や犬と同じです。
 ドバトの原種は欧州で繁殖するカワラバト(英名 Rock Dove )ですが,この種は日本では繁殖していません。下の写真の鳩は,先日渡英した折,マンチェスターの産業科学博物館(写真)前の歩道で撮影したものです。場所が場所なので,もしやと思い,現地で入手した図鑑で絵合わせをしてみました。もしかするとRock Dove (Culumba livia)かも知れません。
 因みに,日本国内で繁殖するハト科の野鳥は6~7種と考えられていますが,東京近郊で観察可能なのはその内の3種(キジバト,アオバト,シラコバト)だけです。諄いようですが,駅や公園にいるドバトは野鳥ではありません。家畜が野生化して繁殖した種です。

理科TIPSロゴマーク「身近な素材でポンプをつくろう」文責:鎌田正裕

教科書などでは心臓の働きや仕組みを「ポンプのような」と喩えてありますが、今の小学生や中学生にとって、ポンプは身近なものとは言えません。ここでは、径の異なるシリコンゴムのチューブを組み合わせてできる簡単なポンプを紹介します。実際にポンプを組み立て、それで水を送り出す活動を通して心臓の働きや仕組みを感じてください。

材料

本体:内径12×外径16×長さ90mm 1本
リング(大): 内径9×外径13×長さ7mm  2本
リング(小): 内径5×外径9×長さ15mm  2本
弁用チューブ: 内径3×外径5×長さ35mm  2本
(シール材は、外径が4mmのシリコンゴムのロッド)

図1 組み立て方法
写真1 完成品
写真2 2つのポンプ心臓の絵に重ねた様子

理科TIPSロゴマーク「生きたまま昆虫の体のつくりを観察する方法」担当者:高森久樹

 昆虫は動き回るので、体のつくりを観察するのは容易ではありません。殺してしまえば観察しやすいですが、やはりかわいそうです。
 そこで生きたままの昆虫を観察する方法を紹介します。市販の軟質カードケースの中に昆虫を挟んで観察する方法です。昆虫だけではなくカニやダンゴムシの観察にも利用できます。体が柔らかい昆虫には、小物用チャック付きビニール袋が適しています。
 体のつくりを知るためには、背面ばかりではなく腹面や側面からの観察もたいせつです。甲虫類やセミ、カメムシは腹面から、チョウ、トンボ、バッタなどは側面から観察すると体のつくりがよくわかります。観察のポイントとしては、まず、肢(あし)や翅(はね)の数と生えている位置を確認します。昆虫はあしが6本、はねが4枚…とは限りません。実際にいろいろな昆虫で確かめてください。また、口、あし、はね、触角、眼などの体の特徴を調べ、食べ物や生態との関係を考えます。
 そして、観察が終わったらすぐに自由にしてあげましょう。

理科TIPSロゴマーク「岩石ハンマーを楽しもう」担当者:高橋

 岩石ハンマーは魔法の杖です.岩をたたけばそこからアンモナイトや三葉虫などが当時の姿を残したまま飛び出してきます.また,赤や緑色をした美しい鉱物が現れることもあるでしょう.今回はこの岩石ハンマーの使い方について学びましょう.
[岩石のたたき方]
 1)岩石用のハンマーを使う.
 2)防護メガネを装着し,軍手などは滑りやすいのでハンマーを持つ方の手にははめない.
 3)ヒジと手首を支点にして,ハンマーの重さだけでスナップをきかせながらたたく.決して力まかせに振りぬいたりしない.(図1)
 4)岩石の割れたがる方向(層理や節理など)をよみ,最小限の力でかきとるようなイメージで割る.
[やってはいけない使い方]
 1)ハンマーをたたいているところをのぞき込まない.(図2)
 2)目の高さでハンマーをふらない.(図3)
 3)ハンマーをタガネのようにして用いない(ハンマーでハンマーをたたかない).ハンマーの一部が欠けて飛んできて大変危険です.(図4)  それではみなさん岩石ハンマーを楽しく使って,化石採集・岩石採集を楽しんでくださいね.Have a nice break!

理科TIPSロゴマーク「星座早見盤の使い方」担当者:西浦慎悟

星座早見盤は日時を指定することで、その時の星や星座の配置を再現してくれるツール です。
日時の指定は、二つの円盤まわりに記された月日と時刻の目盛を合わせるだけでO Kです(図1では10月15日20時にセットした)。これで早見盤の楕円形の窓には、 指定した日時の空が表示されています(図2)。ただし、①実際の空と比べる時には、早 見盤を頭上に持ち上げて見る(そうしないと東西が逆になる:図2参照)、②窓の中央が 天頂、③月や惑星は星々の間を動いているので示されていない、④東西の方位が多少歪ん でいる(図2参照)、ことに注意しましょう。
さぁ、星座早見盤をもって夜空の下へ出て みましょう。なお、ここではビクセン製の星座早見盤を使用しましたが、基本的な使い方 はどこのメーカーのものでも同じです。

理科TIPSロゴマーク 「デジカメによる球速の測定」担当者:荒川悦雄

 最近、デジカメを利用した簡易な球速の測定が提案され[1]、中学校の物理教育に活かされている[2]。この測定法の詳細は、文献[1]に示されているが、本稿では実施上のコツを紹介する。
1) ボールの進行方向に対して垂直な方向から撮影する。
2) 画像は縦横の比を固定して拡大する。
3) ボールは白いので、背景が黒っぽいほうが見やすい
4) 露出時間の最適な長さは、球速と天気によって変わる。
文献[1]には、デジカメの「露光時間」や「シャッター速度」に関する注意を示しておきましたので、そちらも参考にしてください。
文献
[1] 荒川悦雄「球速の測定」、楽しい理科授業、(続)一歩踏み出す勇気!理科授業で使える面白教材13、 明治図書、2008年4月号、表3・4頁、
[2] 教員研修 東京都 東京学芸大学「理科嫌いをなくし理科の力量を向上させる 実験・観察の創造 (PDF 142KB)」
http://spp.jst.go.jp/example/report_h19_kantou.html http://spp.jst.go.jp/example/report_h19_pdf/2007_kyou_dai_1037.pdf

 

理科TIPSロゴマーク 「クリノメーターの使い方」担当者:高橋修

 地層面(層理面)などを表すのに、走向(そうこう)と傾斜(けいしゃ)が使われます。クリノメーターはこの走向および傾斜をはかる道具です。
 1)走向のはかり方
 地層の走向とは、水平面と地層面との交線の延びる方向です.クリノメーターの長い方の辺を地層面にピッタリあてて、水準器を見ながらクリノメーターが水平になるようにします(図1)。その時に,外側の目盛りをよんでください。目盛りの読み方は、北を中心にN30˚E(北から東へ30˚)とかN50˚W(北から西へ50˚)などと,針のさす角度と方向を読みとります。
 2)傾斜のはかり方
 つぎに傾斜です。走向に対して直交方向にクリノメーターの長辺を地層面にピッタリあて、内側の目盛り(傾きの角度)を読みとります(図2)。そして最後に,南北(あるいは東西)どちらの方向に傾斜しているかを確かめて、60˚N(60˚北へ傾斜)とか70˚S(70˚南へ傾斜)とします。傾斜の方向は間違えやすいので注意してください。

理科TIPSロゴマーク 「ヨウ素ーデンプン反応の色」担当者:中西史

 デンプンの検出方法として有名なヨウ素ーデンプン反応。小学5年生の発芽の学習で「デンプンにヨウ素液をかけると,デンプンは青紫色になる」と習いましたね。ところが実際にはうまく青紫にならないことがあります。その理由を考えてみましょう。まず考えられるのは,デンプン濃度が多すぎて黒く見えてしまう,逆に薄すぎて色がはっきりしないケースです。その場合は,ヨウ素液の濃度を調節すると良いでしょう。もう一つ考えられるのは,デンプンの種類です。デンプンはグルコース(ブドウ糖)が鎖状に連なった物質ですが,鎖の長さによってヨウ素ーデンプン反応の色は変わります。鎖が長いと青みが強く,短いと赤っぽくなります(モチ米デンプン)。ヨウ素液は一般に,ヨウ化カリウムの水溶液にヨウ素を溶かして水で薄めて作りますが,ヨウ素を主成分としたうがい薬で簡単に代用できます。一度,身近な材料で,ヨウ素液の濃度やデンプンの種類による色の違いを確かめておくと授業の時に慌てません。作ったヨウ素液は,光にできるだけ当てないで保存すると長持ちします。

理科TIPSロゴマーク 「ピペットの使い方」担当者:吉原 伸敏

 実験で液体を移す場合によくピペット(スポイト)を使用します。小学校から使っているにもかかわらず間違った使い方をする学生を見かけることがあります。写真1の左のように、ゴムキャップの部分のみを指で持って使っている場合、ピペットがブラブラして不安定です。また、液体をこぼさないようにと、写真1の右のように先を上にしてしまう場合も見かけますが、液体がゴムキャップの中に入ってしまうので良くありません。
 正しい使い方は、中指、薬指、小指でピペットの上部を持ち、親指、人差し指でゴムキャップを押えるやり方です(写真2)。このように使えば、ピペットがブラブラしないので、液体がこぼれ落ちることがありません。液体を吸う場合には、ピペットの先端が必ず液体の中にあることを確認しながら吸ってください。また、ガラス製のピペットの場合は、先の部分が割れやすいため、取扱いには注意してください。

理科TIPSロゴマーク 「回路に電流を流したまま測定できる電流計」担当者:鎌田正裕

 電気分野の学習において直流電流計は不可欠なものです。しかし小中学校の理科の授業で用いられている簡易検流計や直流電流計は、回路内に直列に組み入れて電流の大きさを計測する装置であるため、電流を測定する時に、その都度当該回路を切断しなくてはなりません。このため、学習者にとって回路の把握が難しくなり、作業に要する時間も長くなってしまうなど問題点が少なくありません。
 これに対し、回路を切断することなく通電したまま電流を測定することができる電流計(クランプ型電流計)があります。これは、電流のまわりにできた磁界の強さから電流の値を算出するものです。電気回路の学習に必要となる、直流の小電流が測れるものとしては、LEM社製LH41があります(図1)。また、交流電流の測定もできますので、テーブルタップのコードを図2のように加工すれば、テーブルタップに差し込んだ家電製品の消費電力(電流)も簡単に測定できます。

理科TIPSロゴマーク 「ルーペの正しい使い方」担当者:岩元明敏

ルーペ(虫めがね)は理科授業では必須の道具ですが、意外に正しく使われていないようです。実際に生徒にルーペを使わせると、左の写真のようにルーペだけを観察対象に近づけ、目は遠くに離してしまうことがよくあります。しかし、この方法では見える像はレンズの歪みによる影響を受けやすくなる上、視野も狭くなって観察できる範囲が限られてしまいます。正しい使い方は右の写真のように、目をルーペに近づけて見る方法です。目とルーペの間の距離は、ルーペの倍率やレンズの種類、観察者の個人差などにもよりますが、概ね3〜5cm程度になります。また、焦点の合わせ方ですが、観察対象が動かせる物であれば写真のように持ち上げてルーペのそばに寄せ、遠ざけたり近づけたりして一番見えるところを探します。物が動かせない場合には、目とルーペの距離を保ったまま、ルーペの方を対象物に近づけたり遠ざけたりして焦点を合わせて下さい。最後に、生徒にはルーペで太陽や明るい光源を決して見ないように注意しましょう。失明する危険があります。