第四回

第四回リテラシーフォーラム

報告

 
35()、リテラシーフォーラム4「子どもたちの日本語の力を描く、育む」は、全国各地から約60名の方にご参加いただき、無事終了いたしました。ありがとうございました。
 
本フォーラムは、科学研究費で進めてきた多様な言語文化背景をもつ子どもたちの作文の分析を通して抱いて来た、次の3点の課題ついて、共に考えたいと思って企画したものです。
1)外国人児童生徒の日本語の力の発達上の課題は周囲(社会)の日本人児童生徒のそれと何がどう違うのか?
2)測定やあるパフォーマンスの分析から可視化した日本語の力は「ことばの力の総体」のどこを描き出したものなのか?
3)測定等で描いた「ことばの力」をもとに、社会に参加し、可能性を発達させていくために、学校教育は、教育課程において何ができるのか?
 
パネルセッションでは、日本人児童生徒の作文に見られる文法的不適格性(千葉大学 伊坂淳一さん)、つまづき語の教師の印象評定による困難度(広島大学 渡部倫子さん)、新学習指導要領(案)志向する言語活動・アクティブラーニング(帝塚山大学 森篤嗣さん)に関する発題を受けてディスカッションをしました。
 その後、渡部倫子代表科研と齋藤ひろみ代表科研の報告として、渡部倫子さん(広島大学)、橋本ゆかりさん(横浜国立大学)、岩田一成さん(聖心女子大学)、菅原雅枝さん(東京学芸大学)、工藤聖子さん(東京学芸大学)の発表・デモンストレーション・ポスター発表を行いました。

 
ご参加くださった皆さんからは、次のような感想をいただいています。
・日本語教師の視点から見えていたことと、小学校で求められていること、実践されていることが、結びついて理解できたように思う。
webサイトから利用できるシステムを是非活用したい。
・外国人児童生徒が一緒に学ぶ教室でのアクティブラーニングはどう設計・実施すればよいのか?これからの現場の課題だと思った。
・科研報告は今現在進行中の研究について聞くことができ、興味深かった。
・内容が盛りだくさんで細かいところまで理解できないこともあったが、新しい視点を提供いただいた。
 
 企画側の反省点は、「盛りだくさん」が過ぎた事です。研究・調査成果を会場の皆さんと共有しつつ、研究と実践の往還によって実践とその環境を更に豊かにするために何らかの役割を果たせればと、欲張ってしまったようです。
私の科学研究費は2017年が最終年となっております。また、来年の今頃、最後のリテラシーフォーラム、あるいはシンポジウムを開催する予定です。ご興味のある方は、来年、またご参加ください。
 
本活動は、次の2つの科学研究費によるものです
2014-2017年度 科学研究費基盤研究(B)課題番号:26284071 代表:齋藤ひろみ
  題目「地域・家庭の言語環境と日本生育外国人児童のリテラシー発達に関する調査研究」
2013-2016年度 科学研究費基盤研究(B)課題番号25284096 代表:渡部倫子
 題目「アーティキュレーションを保証する言語能力アセスメント実施支援システムの構築」
 

資料

プログラム 
<パネルセッション>
小学校高学年児童及び中学校生徒の日本語表現の不適格性の分析から.pdf
発表者:伊坂淳一先生
JSL児童生徒の日本語能力アセスメント実施支援の成果から.pdf
発表者:渡部倫子先生
日本語の力を育む指導・教育ー小学校の教育現場・教科書から.pdf
発表者:森篤嗣

<科研報告>
読みの流暢さ測定ツールの開発プロセス.pdf
発表者:渡部倫子先生
日本在住外国人児童の「意見を述べる」力の発達.pdf 
発表者:齋藤ひろみ・菅原雅枝
言語習得のメカニズムから考える外国人児童のリテラシー発達.ppsx
発表者:橋本ゆかり(2018.02.08追加)
日本生育外国人児童の「出来事作文」にみられるねじれ文の分析.pdf
発表者:工藤聖子

招待講演

招待講演

報告

 2016年3月13日(日)に、筑波大学の酒井たか子先生が代表を務める科研☆(日本学術振興会科学研究費補助金による基盤研究(B)「多言語背景の児童を対象とした多層分岐適応型日本語力診断オンラインテストの開発」(課題番号 25284092))のワークショップで招待講演を行いました。
 本研究室で進めている「リテラシー科研」のこれまでの調査結果を「日本生育外国人児童のリテラシーの発達―」として報告しました。8年間にわたり行って来た本科研の結果について、横断調査結果として「産出量」「文の複雑さ」(リテラシーフォーラム2齋藤報告)、「語彙(動詞のコロケーション)」(リテラシーフォーラム3森報告)、縦断調査の結果として「表記の誤り」(リテラシーフォーラム2の菅原報告)、「文法の誤り」(リテラシーフォーラム2阿部報告)の一部を紹介しました。その成果について、①多面的に作文を分析し、その結果を統合することによって、日本生育外国人児童の作文の力を立体的に描き出すことができること、②結果を子どもたちの社会化という視点から結果を考察し、リテラシーの発達過程を推定し、その特徴を捉えられる可能性があることについて検討しました。
 なお、招待講演で報告した調査結果は、リテラシーフォーラム1,2,3の資料として本HPにアップしてあります。そちらをご覧ください。

☆筑波大学の酒井科研のHP:年少者日本語評価科研グループ 
URL:http://ttbj.jp/kodomo/

第三回

第三回リテラシーフォーラム

報告

 2月28日(日)、リテラシーフォーラム3「子どもたちの日本語の発達を可視化する―語彙•文法の焦点を当てて」(於:お茶の水女子大学)が終了しました。簡単に、ご報告させていただきます。

 90名以上の方の事前申込があり、当日は71名の方に参加いただきました。ありがとうございました。ご病気等で残念ながらお越しになれなかった皆さんには、この場を借りてお見舞い申し上げます。
 筑波大学の酒井たか子先生、お茶の水女子大学の西川朋美先生、私齋藤が代表を務める3つの科学研究費の研究成果の報告と、それぞれの科研の分科会でのディスカッションで構成いたしました。
 参加者の皆さんからは、内容構成ともよかったし参考になったという感想、もっとじっくり話し合いたかったというご意見がありました。また、研究の内容については、語彙•文法に焦点化した調査で数量的な把握が中心だったが、思考する力などについての調査研究も知りたいというご要望や、現場での実践への活用方法や政策提言まで踏み込まないと現場を変えられないという指摘などもございました。
 いずれにしても、多様な言語文化背景をもつ子どもの言語の発達とその支援•教育に強い関心をもち熱心に取り組まれている皆さんからの声に、主催した3つの科研の関係者は、研究について見直す上で、また今後の展開を検討する上で大変参考になったと考えております。今回のフォーラムでいただいたご意見を大切にしつつ、研究活動を社会に貢献する形で進めていきたいと考えております。ありがとうございました。
 なお、当日配布した資料をアップし、ダウンロードできるようにいたしました。よろしければ、どうぞアクセスしてご活用ください。
 (ただし、現段階ので研究成果ですので、最終の結果につきましては、最終年度以降の公開となります。ご了承ください。)

 酒井先生、西川先生の科研の配布資料は、それぞれの科研•研究室のHPでダウンロードできるようにしてくださる予定です。
酒井たか子先生の科研のHP:http://ttbj.jp/kodomo/
西川朋美先生の研究室のHP:http://www-p.li.ocha.ac.jp/jle-nishikawa/

来年度も、科研の成果を広く皆様にお伝えし議論する場を設ける予定です。

資料

›多様な言語文化背景をもつ子どもたちのリテラシーフォーラム3 「子どもたちの日本語の発達を可視化する ―語彙•文法の力に焦点を当てて―」 
 齋藤報告(786KB) 
発表者:齋藤ひろみ

›多様な言語文化背景をもつ子どもたちのリテラシーフォーラム3 「子どもたちの日本語の発達を可視化する ―語彙•文法の力に焦点を当てて―」
出来事作文における動詞のバリエーションとコロケーション
発表者:森篤嗣(帝塚山大学)

›多様な言語文化背景をもつ子どもたちのリテラシーフォーラム3 「子どもたちの日本語の発達を可視化する ―語彙•文法の力に焦点を当てて―」
地域•家庭の言語環境と日本生育外国人児童のリテラシー発達に関する調査研究 ―出来事作文にみられる「話しことば」の使用(作文チェッカーの開発とその活用)
発表者:岩田一成(聖心女子大学) 

›多様な言語文化背景をもつ子どもたちのリテラシーフォーラム3 「子どもたちの日本語の発達を可視化する ―語彙•文法の力に焦点を当てて―」
日本生育外国人児童の「出来事作文」にみられるねじれ文の分析
発表者:工藤聖子(東京学芸大学大学院) 

第二回

第二回リテラシーフォーラム

報告

 齋藤研究室では、日本生育外国人児童生徒(日本生まれ、あるいは幼少期に来日し幼児期から日本で生活をしている児童生徒)のリテラシーの発達、その教育に関心をもち、平成22-25年度、平成26-29年度と2期に渡って、科学研究費の助成を受けています。この活動を「リテラシー科研プロジェクト」として、帝塚山大学の森篤嗣さん、聖心女子大学の岩田一成さん、横浜国立大学の橋本ゆかりさんにメンバーに分担研究者、学内の共同研究者として北澤尚さん、菅原雅枝さんに加わっていただいています。また、研究室の院生も研究活動•発表活動に参加しています。


<各期の科学研究費>
第1期:平成23-25年度 基盤C 課題番号23520615
研究課題:日本生育外国人児童のリテラシー発達に関する基礎調査―日本語作文の縦断調査―
第2期:平成26-29年度 基盤B 課題番号26284071
研究課題:地域•家庭の言語環境と日本生育外国人児童のリテラシー発達に関する調査研究

この研究成果を、実践現場にいる方や関心のある研究者の方と共有するために、2度のフォーラムを開催いたしました。第1回フォーラムは、2014年の3月に、第2回のフォーラムは2015年の3月に開催しました(第1回のフォーラムは、早稲田大学の池上摩希子さんの科研との合同開催です。プログラム等は、池上摩希子研究室のHPにて公開しています)。第1回のフォーラムでは第1期の調査結果の一部を、第2回のフォーラムでは第2期のメンバー(森篤嗣さん、岩田一誠さん、橋本ゆかりさん)から「外国人児童のリテラシー発達」に関する発題をし、本プロジェクトの第1期の研究成果を報告しました。

当日の本プロジェクトの研究成果に関するppt資料を公開いたします。

資料

›多様な言語文化背景をもつ子どもたちのリテラシーフォーラム2 

趣旨説明(337KB)

›多様な言語文化背景をもつ子どもたちのリテラシーフォーラム2 子どものリテラシーを多面的にとらえる 
齋藤報告(786KB) 
発表者:齋藤ひろみ

›多様な言語文化背景を持つ子どもたちのリテラシーフォーラム2「子どものリテラシーを多面的にとらえる」
文法の誤り――「です•ます」形に着目して――(705KB) 
発表者:阿部志野歩•北澤尚•齋藤ひろみ

›多様な言語文化背景を持つ子どもたちのリテラシーフォーラム2「子どものリテラシーを多面的にとらえる」 
日本生育外国人児童の文章構成力の発達に関する研究-出来事作文の分析を通して-(1628KB)  
発表者:嶌田陽子•齋藤ひろみ•内田のり子•菅原雅枝

›多様な言語文化背景を持つ子どもたちのリテラシーフォーラム2「子どものリテラシーを多面的にとらえる」 
日本生育外国人児童の「表記の力」の縦断調査(1675KB) 
発表者:菅原雅枝

第一回