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本校の入学検査では国語、算数、理科、社会の筆記と
集団面接をおこなっています。
 
入学検査の問題は皆さんにとっては
「この問題が出来れば入学できる」
 
ですが、出題する中学校の側から見れば
「こんな考え方のできる子に入学してほしい」
という願いでもあります。
 
どのような問題を出したのか、その解説と、
なぜそのような問題を出題したのかという「意図」を
今回は算数の出題者に説明してもらいました。
 
今後、他の教科も公開していきます。
 

平成29年度入学検査 大問3

数字の入るマスを右図のように並べていきます。

上から1段目、2段目と呼ぶことにすると、1段目から2段目、2段目から3段目と、1つずつマスが増えていきます。それぞれの段のマスを左から数えて1番、2番と呼びます。このとき、そのマスととなり合う上のマスの状況によって、そのマスがどのようになるかを次の①から③の規則で定めます。
①上の2マスをたして偶数になるとき、0をかく。
②上の2マスをたして奇数になるとき、1をかく。
③上のマスが1マスしかない場合はその上の1マスと同じ数をかく。
1段目の数を 1 とします。そうすると、その左下(2段目1番)は規則③によって 1 、右下(2段目2番)も同様に 1 になるので2段目は左から1と1となります。3段目1番は規則③により1、3段目3番も同様に1、3段目2番は規則①より0となります。したがって、3段目は左から1と0と1です。
このように1段目の数を1として2段目以降のマスに入る数を決めていくとき、次の問いに答えなさい。
(問1)例と同様に1段目の数が1のとき、例の続きを6段目まで解答用紙にかきなさい。
(問2)1段目は1だから数を全てたすと1、2段目は1と1だから数を全てたすと2である。8段目の数を全てたすといくつになるか答えなさい。
(問3)0の入っているマスは1段目は0個、2段目は0個、3段目は1個である。
32段目で0の入っているマスは全部でいくつあるか答えなさい。
(問4)129段目の数を全てたすといくつになるか答えなさい。
 
問題の解説

 この問題は示された3つの規則に従ってピラミッド型に並べられた箱に数を入れていき、その規則性を調べる問題です。問1と問2は実際に手を動かしながら考えていくことになるでしょう。実際に8段目までを調べてみると右のようになります。このことから何か規則性を見つけることはできるでしょうか。
・1だけの段があることに気づきませんか?
・0の集まりが逆三角形になっていることに気づきませんか?
・同じ数字の並びの三角形が3つあることに気づきませんか?
 このような気づきをもとにして下にあるような16段目までを考えてみると、8段目で考えた三角形が大きくなって現れているのに気づくでしょう。また、1だけの段が1、2、4、8、16段目にあることに気づくでしょう。16段目の次に1だけの段は何段になるでしょうか。1から2へ2倍、2から4へ2倍、4から8へ2倍となっているので、16段目の次は32段目、その次は64段目、その次は128段目となっているはずです。129段目は128段目の次の段、全部が1の段の次の段は両端だけが1で中は全て0になっていることにも気付けるでしょう。

 このように、この問題では規則に従って実際に調べてみる力、実際に調べたことからいくつかの性質を見出す力、見出した性質を使ってその先を考える力があるかどうかを見ています。
 
 本校の数学科では、普段の生活でも潜んでいる数学的な変化や事象を見出し、それを基にしてその先を考えていけるような生徒の入学を待っています。

 なお、この問題の1が入っている箱を赤く、0の入っている箱を白く塗りつぶすと次のような図になります。(図は256段目まで)

 この図形はシェルピンスキーの三角形と呼ばれるもので、図の中に縮小した同じものが入っている「フラクタル図形」の一種です。フラクタル図形(に似るもの)は自然科学の世界に多く雪の結晶や、海岸線、木の生え方などもフラクタル図形に似ることが分かっています。また、このシェルピンスキーの三角形をつくるときの操作は高校生になってから学習する場合の数、あるいは現実をパソコンでシミュレーションする際に用いられるセルオートマトンといった分野とも似ています。
 数学は問題が解ければ、終わりという教科ではありません。その問題を通して考えたことは、その問題が終わった後にも続きますし、その問題自体も発展して様々なこととつながっていきます。その分野は数学の世界を簡単に飛び越え理科や社会などの教科の先につづいていきます。①~③の3つのルールから作られたこの問題がどのように広がっていくのか少しは体験できたでしょうか。