くるくるサークル

Vol.4
造形教室たけとんぼ

くるくるサークル、第4弾は『造形教室たけとんぼ』です!
地域の子どもたちに向けた工作教室を行なっている『たけとんぼ』。試作会を見学しつつ、いろいろなお話を伺いました。

たけとんぼの活動

●造形教室たけとんぼでは、どんな活動をしているんですか?
活動内容としては、月に一度、休みの日の午後1時から4時頃まで、メンバーとして登録してくれている地域の子どもたちを大学に招き、工作教室を開催しています。 工作の内容は、前もって活動リーダー (毎回3人ぐらいが担当) が計画していて、題材決め、材料集め、保険掛け、試作、保護者へのお便りの制作などを活動の2週間前ぐらいから準備しています。参加費はひとり300円ずつ子どもたちから集めて、毎回活動しています。

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●子どもたちの登録は、ネットで告知したりしているのですか?
特にネットで告知などはしていないんです。学園祭でやる工作ワークショップに参加した子や、参加者からの口コミで集まった子が登録しています。今は20人くらいの子どもたちが、たけとんぼに登録してくれています。

●サークルの部員数は何人くらいいますか?
部員数は、1年生が9人、2年生が2人、3年が5人、4年が1人です。基本的に毎月活動するんですけど、今は部員数が足りていないのが現状です。子どもと丁寧に関わったり、危ない道具を使う時ちゃんと見守るため、より多くの学生を募集しています。

●どの学科の学生が多いですか?
美術科の学生が多いですが、幼児教育や数学科、国語科、生涯学習の学生もいます。本当は美術科以外の学生にも、もっと入ってほしいです。4月のお花見(多くのサークルが集合してウッドデッキの上でお花見をしながら新入生を歓迎するイベント)で新入生の勧誘をすると「子ども向けのサークルに興味があるけれど図工が苦手だから...」と言われたりして。でもむしろ、図工が苦手な学生の方が、子どもたちがやりにくい所や難しい所に気づけたり、子どもと近い目線で支えてあげられるんじゃないかと思います。

●サークルの雰囲気はどんなかんじですか?
試作の時は、結構和気あいあいです。お互い、ここはこう作った方がいいよ、とか、それはどうやったの?とか話しながら制作しています。思ったことはすぐに言いやすいし、ちゃんと建設的な話ができる仲間たちといった感じです。基本的には、騒いだりする人がいなくて落ち着いた雰囲気です。

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一人ひとりにじっくり向き合って

●子どもたちとの工作活動について教えてください
子どもたちは多い時で10人くらい集まってくれて、学生が一対一に近い形で子どもの作品づくりをサポートしています。少人数だからこそ丁寧なサポートができる事が魅力です。小学1年生から6年生までいるので、高学年の子が低学年の子に教えてあげることもあります。
やっぱり学校の図工でできないことをやらせてあげたいよねっていうのがあって、グルーガンを使ったり、少し危ない作業がある工作でも、学生がしっかりサポートをしながら進められるので、難しいものにも挑戦させてあげられます。また、少し高価な素材を使ったり、結構クオリティの高いものを作れたりします。そういう作品ができると子どもたちはとても喜びますね。材料費が一番高かったのは、ハーバリウムを作った時です。部員が摘んだ花でドライフラワーをつくって素材にしてもらいました。
いつも素材はいろいろな材料を用意しています。あまり必要ないものも置いておくと、結構使ってくれて、試作では想像していなかったものができあがったりします。子どもが魅力的だなって思えるような素材、例えばセロファンとか、わたとか、ビーズや、キラキラしたものなどなるべくたくさん置くようにしています。

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ワークショップの作り方

●工作活動をどのように企画していますか?
毎回、3人の活動リーダーが中心になって計画します。活動リーダーは1年生も含め、交代で役割が回ってきます。だいたい作るものを決めたら、試作会に向けて材料の買い物をします。月によって違いますが、対象としている子どもが小学1~6年生のため、低学年でも出来るものを構想しています。ただ、低学年向けの題材だと高学年の子たちにとってつまらないものとなってしまうので、工夫の余地が多くある題材を選ぶようにしています。そして、試作を通して「実際に子どもと行えるか」を調べ、そこから子どもが楽しめる工夫を考えた後、当日のスケジュールを組み立てます。
安全性や工夫の余地に、個人的には最も留意しています。ただ、組み立てて終わり、貼り付けて終わり、というのは単純でつまらないものになってしまうので、そこからどう楽しめるかを考えるのが大事だな~と。最低3回は試作会をして、危険な点や、必要なものなどをまとめます。3回目ぐらいで大きく計画が変わることもあります。

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1サークル員として

●たけとんぼに入ったきっかけを教えてください
学芸大学には子ども向けのサークルが沢山あって、私はいくつかのサークルに入っていました。規模の大きい、子どもの数も多いサークルにも入っていましたが、一人一人に丁寧に向き合って活動するには難しいかなと感じて、そこで私にはたけとんぼが合っていると思ったんです。人数は少し少ないですが、子どもたち一人ずつの成長を見守れたり、じっくり話せたり、一緒に発見したり、これはこの規模だからできることで、最大の魅力だと思います。
1年生から6年生まで、ずっと通ってきてくれる子どもたちもいるので、みんなの作品の傾向とか、友達同士の付き合いとか、少しずつ変わっていくのを見るのも楽しいです。

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●教育実習で役立てられることはありますか?
学校の授業は、指導要領などから教育的な目的を持って、みんなが同じ目標に向かって造形活動を行うと思います。たけとんぼの活動は、楽しんで作ること自体を目的にしていて、時間内の流れがちゃんと決まってる訳ではなく、結構自由です。なので授業の計画で役立つかどうかは期待できないんですけど、やっぱり子どもとの接し方でしょうか。たけとんぼは、どういう風にしたら子どもが楽しく会話できるのかなってことを考える機会が多いんですね。
それと、作る時の手元をずっと見ているので、学年によってどのくらいのことができるのか、傾向がわかることが役に立ちました。あと、大人にウケるボケって子どもにウケないってことは発見でした(笑)。

●子どもに教える面白さってなんですか?
たけとんぼでは、子どもたちに教えるというより、素材や道具の使い方を説明して、選択の幅を広げてあげて、自分で気づいてもらって、表現の幅を広げられるようにしたいと考えています。最初は「何をつくったらいいかわからない」と迷っている子に、いろんな素材を並べて「これもあるしこれもあるよ」って見せると、「あ!じゃあこれ使う!」と気づいて、そこから、こっちが思ってもみなかったような発想で、すごい作品ができたりするんです。子どもたちがどういう風に発想していってどういう作品ができていくのかっていうのを見られるのが、たけとんぼにいて面白い!って思うところなのかな。

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最後に一言

子どもたちとじっくり向き合って、一緒に活動したい人はぜひ来てみてほしいです。図工が苦手でも、ぜんぜん問題ないです!子どもたちと、一緒に新しい発見をしたり、成長を見守ったり、素敵な時間を一緒に過ごせる仲間が増えればいいなと思います!
試作会でもいいし、実際の活動の日でもいいです。もし興味があれば、遊びに来てください。

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Twitter: @taketonbo_tgu

(掲載日:2020.3.31)
取材・撮影/惣野沙彩、矢部葵
写真提供/造形教室たけとんぼ