岸田國士及び作品に関する考察

   岸田國士作品の上演に当たって行なった勉強会での発表要旨を掲載しています。
    
      
・水越絵梨子

大正12年〜昭和12年の新劇「新劇便覧」を参照し、大正劇文化、築地小劇場とその対立、プロレタリア演劇運動と知識人演劇の発達、そして文学座について時間軸に合わせて考察していった。松下のところで不明瞭であった岸田の作風「心理主義」についても「新劇の社会的リアリズムに対抗するものととらえることで解決。


・渋谷朋絵

新劇の誕生について時間軸にのってより詳細に示した。新劇というものが演劇史上・日本史上どのような位置にあり、当時の社会はどのようなものだったのかがうかがえる。


・蒲英里子

阿部由香子「『温室』の外の民衆劇―岸田國士と新劇協会」(早稲田大学坪内博士記念演劇博物館『演劇研究』第二十五号より)を参照し、岸田の作品「温室の前」(チアロオグと同年)をはじめとする岸田作品に対する他者の意見を示した。その批評にたいする岸田の「僕は僕の戯曲を夢にも芝居といふ世界から外へ持ち出す野心はない、野心はないどころか、そんな事をされては迷惑至極である」という反論に現実の社会と演劇は関係ないという意見が垣間見えた。