「チーム学校」時代の教員・教育支援職の養成・研修に関わる研究

教育支援、教育協働に関わる大学カリキュラムの現状

訪問インタビュー調査に至る経緯と、その概要

 ここでは、「教育支援・教育協働に関わる大学カリキュラムの現状」を探るべく、「次世代型教育支援システム開発研究機構」プロジェクトに関与する教員の有志数名が、訪問インタビュー調査を出向いた調査報告を、以下にて順次紹介します。その訪問インタビュー調査に至る経緯を若干説明しておきます。
 まず2018年度に本機構の調査チームが、"「チーム学校」体制に応じた教育者養成におけるカリキュラムに関する調査"(以下「カリキュラム調査」と略記)を2019年1月から3月にかけて実施しました。この調査の中間報告は、2019年3月2日(土)に東京学芸大学において実施された次世代型教育支援フォーラム「次世代を拓く連携機構の役割と課題」のプログラムの一つである"ディスカッション「教育支援協働(学)」と「拡張型カリキュラム」を問う"において報告されております。その題目は以下のとおりです。
ⅰ「カリキュラム調査」研究グループから~「カリキュラム調査」のその先~ [2019年3月2日(土)10時30分~(於)東京学芸大学 W110教室]

 但し、上記報告時には調査票が未だ回収中の状況で、「回収済調査票の幾つかをみる限り、教育支援・協働に関して、教育内容面や意識面の何れにおいても、一部の大学を除いては、認知度合いが不十分であることが窺われ、全体としてもそのような回答傾向が予測される」と、述べられております。加えて、次のような纏めで締め括られました。

 「本カリキュラム調査の対象には、母体が福祉系で出発し、後発で教員養成を行い始めた大学も含まれる。こうした大学群と、教員養成を主としてきた大学群との比較考究を行うことで、教員養成と教育支援職養成とが、実態としてはパラレルな関係にある実態をあぶり出し、本学を含む教員養成系大学の学びどころを見いだしたい。そして"「カリキュラム調査」のその先"に、インテンシブ(集中的)な訪問調査を企図し、教員養成と教育支援職養成とを架橋するカリキュラムの改変可能性などを探る予定である」。

 その後、回答調査票が回収された後に、「カリキュラム調査」全体の報告書(2019年11月)及びダイジェスト版(2019年12月)が作られました。これらは、Webサイトの別コーナー頁に掲載させて頂きましたが、以下が題目となります。

ⅱ「次世代型教育支援システム開発研究連携機構」調査チーム 編(文責:腰越 滋) 2019,『集計・分析の結果(アップロード完成版)"「チーム学校」体制に応じた教育者養成におけるカリキュラムに関する調査"』,東京学芸大学。

ⅲ「次世代型教育支援システム開発研究連携機構」調査チーム 編(文責:腰越 滋) 2019,『"「チーム学校」体制に応じた教育者養成におけるカリキュラムに関する調査" 集計・分析の結果(報告概要版)』,東京学芸大学。

 ⅱ及びⅲを上梓後も、インテンシブ(集中的)な訪問調査は継続して必要と考えられたため、「次世代型教育支援システム開発研究連携機構」機構長である松田 恵示副学長を中心に、訪問調査での聞き取り事項のアウトラインが示されました。

1. 教育支援職(狭義には、SC、SSW、事務職員、中義には、加えて社会教育施設等職員、広義には、部活指導員、芸術関係支援員、ICT支援員、教育関連企業社員、企業内教育関連部署社員、)の養成の意図や今後の計画はあるか、学内議論はあるか、またその内容。
2. 教育支援職への志望、就職実績の現状。
3. 教育支援職養成におけるカリキュラム編成(現状・今後の意見として)の留意点は。
4. 教育支援職養成における教育方法に関する特徴的な取り組み(現状・今後の意見として)や、可能性と課題に関して。
5. 教育支援職養成における教育単科大学、教育学部への要望。
6. 教員養成カリキュラム編成における、「チーム学校」時代(教育支援職との協働を前提とした職能形成)の教員の資質能力育成に対する取り組みの現状。
7. 教員養成カリキュラムにおける、教育方法に関する特徴的な取り組み(現状・今後の意見として)や、可能性と課題に関して。
8. 教員養成カリキュラムの検討に関しての、教育単科大学、教育学部への要望。

 上記8点の項目を指針として、質問紙による「カリキュラム調査」の回答に応じて具体的な様子や意見等についてヒアリングすることが目指されました。ただ、8つの項目指針が示される前にヒアリング調査に出かけた機構員メンバーもおりましたので、8項目の全てに聞き取りが出来ているかと言えば、情報の量や質にバラツキがあることは否めません。

 しかし、下記に紹介される訪問大学の事情の記述内容には量的な調査だけでは得られない情報が含まれていると判断し、訪問調査者による報告レポートのままに、インテンシブな訪問調査の結果を掲載させて頂くことにしました。
(文責:腰越 滋)

報告レポート

金子 嘉宏 「「チーム学校」体制に応じた教育者養成におけるカリキュラムに関する調査」に関連してのヒアリングからの考察