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環境民族植物学特論(2006年度後期)
○担当教員: 木俣 美樹男 (総合教育科学系 環境教育実践施設 教授) 研究室HP
○曜日時限: 火曜 5限 / ○教室: 環境教育実践施設 木俣研究室 / ○対象: 大学院教育学研究科 修士課程
  ねらいと目標

 多摩川源流に位置する山梨県小菅村において、現場を巡検して生物文化多様性を保全することを配慮したエコミュージアム日本村づくり構想を理解する。植物と人々の博物館づくりの一環として行っている、東西雑穀プロジェクトおよび民具展示プロジェクトに参画して、地域環境と植物が山村の暮らしをどのように支えているかを学ぶ。文化財審議委員との共同で民具を整理し、聞き取り調査の手法をトレーニングする。これらを通じて、エコミュージアムの野外展示とコア博物館の屋内展示の手法について習得する。


 授業内容

 植物と人類の共生への関係史を学び、伝統的な植物智・生態智を学習することがこれからの環境保全、環境創造、あるいは環境学、環境教育学にどのように有効であるかを議論する。基本的な概念を提案した後に、講義の方法は初日に受講者と相談のうえ決める。これまでは課題にそった文献資料図書から各自1冊を選択して、要約するとともに2、3 の課題を提起して議論を行ってきた。たとえば、V.D. Nazarea(1998) CulturalMemory and Biodiversity, The University of Arizona Press などを使用した。任意参加の補講は東京近隣の神代植物公園、野川公園自然観察センターなどで野外実習を行う予定。

 2005 年は研究専念期間を得て、イギリスのケント大学の環境保全・人類生態学に関わる大学院の教育体系を体験的に検討しているので、ここで得られた内容を講義改善のために適用したいと考えている。専門教科書も収集しているので、紹介の上、希望があればこれらも教材として取り上げたい。


 参考文献

● C.M. コットン(2002)『民族植物学―原理と応用』(木俣・石川訳)八坂書房。


 授業報告

○ 内容
1)エコミュージアム日本村の構想について応用民族植物学の視点から概説した。
2)小菅村村内全域を巡検した。
3)伝統的な栽培植物である雑穀類を復活保存する東西雑穀プロジェクトに参画して、収穫物の脱穀作業を行った。
4)伝統食であるそばの打ち方を地域の技術伝承者から習った。
5)民具展示プロジェクトに参画して、文化財審議委員から民具について聞き取り聴取を行った。
6)民具の写真記録と情報のデータベース作りを行った。
7)これらの体験学習の成果をレポートにまとめ、展示に関しての提案を行った。

○ 効果
 小中学校の教員ないしこれを目指す院生たちは目的意識が明確であるので、学校教育の一環としてエコミュージアム日本村と植物と人々の博物館がどのように活用できるかについて議論を進めることができた。地域環境が人々の暮らしとどのように関わっているのか理解したうえで、これをいかに解説するかの検討も進んだ。小菅村教育委員会によって収集されている民具のデータベースの骨格が整理でき、展示のデザインに関しても良い提案を得ることができた。これを参考に、博物館展示・収蔵室の整備を行うことにした。講義での提案が実際に適用でき、地域住民からも感謝され、とても有益であった。

写真
植物と人々の博物館における民具のデータベースづくり
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