タイトルイメージ(教育学部 環境教育課程 自然環境科学専攻)
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宇宙地球科学分野概略

 宇宙・地球科学は、空間的には、砂の一粒のような小さな鉱物から、地球、太陽系、銀河系、さらにその外側に広がる別の銀河群・銀河団まで大きな広がりを、時間的には、地震や噴火、台風などの気象現象のようなまさに現在起こっている現象から、大陸移動や生命の誕生と進化、46億年前の地球形成、それよりはるか以前の宇宙の形成というように非常に長い時間軸を扱っている学問です。そのような空間時間スケールの中で、どのような出来事が起こっているのか、どのようなものが存在するのか、そしてどのようなメカニズムによって地球が人類の生存できる環境になっているのかを、数学、物理学、化学、生物学などを基礎として学び、研究します。


 宇宙や地球の成り立ちや特徴を学ぶとともに、基礎となっている物理学や化学などの基礎を勉強することも大切になります。その一方で、野外で調査観察したり観測やデータ解析の手法も学ぶ必要があります。したがってはじめのうちは講義や実習・実験の内容はきわめて多岐にわたりますが、徐々に自分の興味に合わせて必要なものを選んで学習するようにします。



 研究は自然環境科学教室所属の教員のほかに理科・地学教室の教員も協力し、天文、地球物理(気象と地震)、地質古生物、岩石鉱物の部門に配属され各自の課題を研究します。テーマは多岐にわたりますが、野外調査、室内実験、天体観測、あるいは気象観測や測地観測のデータの利用などを通じて研究材料を集め、各自のテーマに沿う解析をし、結果について考察します。



教員がwebページを開設している場合は,教員名(もしくはその下の部分)をクリックすると各教員に関連するwebページを見ることができます.

担当教員名 研究内容概略
藤本 光一郎

(教員紹介)
水は地球を最も特徴付ける物質のひとつです.その水は風化作用に見られるように岩石に対して様々な化学的,物理的な変化を与えます.水と岩石がどのように化学的な反応を行うかを,天然の試料や実験を通じて研究しています
兵庫県南部地震のような内陸で起こる大きな地震は地下10km程度の断層深部で発生します.断層深部に分布する岩石が地震の前,地震の最中,地震後にどのように変形するかをかつて地震を起こした断層について調べています.図はシュードタキライトと呼ばれ,地震時の際の高速のすべりで断層面の岩石が溶けてできた石です.
松田 佳久

(教員紹介)
 気象学のうち、大気の運動を調べる気象力学という分野を専攻している。その範囲で幅広く色々な現象に興味を持っているが、その中から次の2つを説明する。
(1)金星大気の研究
 金星は地表面で92気圧、730Kの高温・高圧の大気を持っている。その大気が、固体部分の自転の60倍の速さで自転と同じ向きに回転している。これをスーパー・ローテーションと言うが、その原因を理論的に研究している。この問題は、金星において惑星規模で大気の流れがどのようになっているかを明らかにすることである。
(2)対流圏における波の伝播の研究
 地球の対流圏における惑星規模のロスビー波の伝播を調べている。特に、日本の夏の天気を支配する太平洋高気圧がロスビー波によってどのように影響されるかを研究している。ジェット気流を通ってヨーロッパの方から伝播してくるロスビー波が重要という説とフィリピン付近で励起されるロスビー波が重要という説があり、興味深いところである。
水野 孝雄

(教員紹介)
 1000億個くらいの星の集団である銀河は宇宙の基本的な構成単位ですが、大きく別けて円盤銀河と楕円銀河とがあります(下図1)。楕円銀河は円盤をもたないと考えられていましたが、高感度のCCDカメラとそのデジタルデータを処理する技術の向上により、楕円銀河にもかすかな円盤構造をもつものが見つかってきました(下図2)。私たちは銀河の種類と形成過程との関係を得ようとしていますが、特に楕円銀河の円盤の明るさや構造を調べ、銀河形成における円盤銀河との条件の違いや他の銀河との相互作用の有無等を明らかにしようとしています。



図をクリックすると拡大したものを見ることができます。

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地震の化石 シュードタキライト

福島県の畑川破砕帯の花崗岩質のマイロナイト中に見出されたシュードタキライト.下端の目盛一つが1cm.地震性すべりが生じて岩石が溶けた部分を生成脈と呼ぶ.この写真では厚さが1mm以下の生成脈が少なくとも2枚以上見られ,ここで複数回の地震が起こったことを示している.生成脈の部分で溶けた岩石が周囲の母岩に入り込んで急冷し,注入脈を形成する.注入脈の方が厚みがあるので目立つことが多い.この写真ではシュードタキライトの部分は緑灰色をしている.(藤本)
台風並みに発達した低気圧(松田)

この低気圧は2004年1月13日から14日にかけて、東海道沖海上で発生し、東北地方東部沖の太平洋上を北上して、北海道東部沖で最盛期をむかえた。13日9時に中心気圧が1002hPaであったのが、24時間で38hPaも低下し、14日9時で964hPaに達した。札幌市では積雪66cm、最大瞬間風速31.4mを記録した。急速に発達する「爆弾低気圧」に当てはまる。通常、温帯低気圧は閉塞前線が形成されると衰弱するが、この低気圧は閉塞前線形成後も発達を続けた大変興味深い低気圧である。



図をクリックすると拡大したものを見ることができます。

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図1. 銀河の形態分類系列とその特性(水野) 図2. 円盤型楕円銀河と箱型楕円銀河(水野)


広域自然科学講座 宇宙地球科学分野



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Last update March 10 2006
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