福島県大熊町と連携協定を締結しました!(教育ウェルビーイング研究開発プロジェクト)

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(左から田﨑特命助教、荻上准教授、國仙機構長、吉田町長、佐藤教育長、南郷校長、志賀副校長)

本協定は、東京学芸大学と大熊町(福島県)が相互の資源や強みをいかしながら、多角的な連携を進めることによって、地域における教育の充実や新しい学校づくりの推進に貢献することを目的としています。

 具体的には、新しい学校づくり(学び舎ゆめの森)の推進や教育をはじめとする多分野連携による学びを軸とした地域づくり、自治体の教育ビジョンに基づく教育政策・施策、教育現場の取り組みの効果測定、事業の推進に係る人材の確保・育成や教員養成・研修のあり方、教育領域における産官学連携の促進など、多様なテーマにわたって協働し、実践的な研究と取り組みを展開していきます。

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(左から國仙機構長、吉田町長)

國仙機構長:東京学芸大学は、教員養成のフラッグシップ大学として、日本の教育の未来を切り拓くという使命を担い、全国の自治体の皆さまと手を取り合いながら、教育の質の向上と、新しい学びの創造に努めてきた。その中でも、東日本大震災からの復興の道を力強く歩んでいる大熊町と連携協定を結ぶことは、地域に根ざし、復興から未来へとつながる教育の実現をより確かなものにし、大変意義深いものがある。大熊町は新たな町を一から創り上げるなかで「子供の幸せ」、「学校の役割」を町全体で考え、「学び舎ゆめの森」を中心とした、子供たち一人ひとりのウェルビーイングを追求しており、未来の教育を先取りするものである。今回の連携協定では「教育ウェルビーイング研究開発プロジェクト」を通じ、大熊町の目指すウェルビーイングとは何なのかを共に答えを探すことで、大熊町の教育の更なる発展に貢献できるものと確信している。

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(挨拶をする國仙機構長)

吉田町長:東日本大震災や原発事故から14年が経ち、大熊町は復興に向けて邁進している。町の再生は建物などのハード面だけでなく、教育や子育てなどの質を高めるというソフト面が必要不可欠であり、教育は未来の町づくりを担う人材を育てる根幹である。相互の信頼・協力のもと「学び舎ゆめの森」を核に行政、教育委員会、学校現場が一丸となりこの度の連携を最大限生かすことで、実り多きものとしていきたい。

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(挨拶をする吉田町長)

荻上准教授:20195月にOECDが「ラーニングコンパス」という国際政策文書を公表し、その6年後である今年5月に「ティーチングコンパス」という新たな国際政策文書が発表された。その両方の文書の中で述べられている「ウェルビーイング」を現在、教育の中に取り入れようという動きが多くある。一方で、ウェルビーイングはとらえがたく、解釈が難しい概念でもある。東京学芸大学では、「教育ウェルビーイング研究開発プロジェクト」として「ウェルビーイングとは何なのか」、「どのようなものを目指していくのか」ということを、大熊町との対話を大切にしながら共に考え、町に根差した指標を開発・活用していく。また、指標で測定をするだけでなく、大熊町と一緒に伴走し(教育にどのように還元するか、改善するかを共に考え、フィードバックをしていく)、中長期的に町の未来を一緒に考えていきたい。この対話と伴走を通じ教育ビジョンや教育施策をウェルビーイングの視点から可視化することで、教育を核として、シビックプライドや郷土愛の醸成、福祉などの他分野も含めて町づくり全体をとらえていく。

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(プロジェクトの説明をする荻上准教授)

佐藤教育長:大熊町は東日本大震災と原子力発電所事故により一時全町避難を余儀なくされ、日々生き抜いていくために様々な立場で数々の想定外の難しい問題に直面してきた。解決の難しい問題には「これが正解だ」という回答がなく、一つ一つの問題ごとに人がお互いの気持ちに思いやりつつ、丁寧な対話を積み重ね、それぞれの問題の最適解を作り出すことを繰り返してきた。大熊町ではこの経験を、人づくりである教育に生かし、現在の認定こども園・義務教育学校が一体となった「学び舎ゆめの森」を作り上げ、学校教育、生涯学習ともにこの精神を受け継ぎ、教育大綱でも位置付けられている。本プロジェクトが目指す「人と社会のウェルビーイングの実現」はこの精神につながるものであり、だれ一人取り残すことのない、人生をあきらめることのない、ウェルビーイングな未来を実現するための町づくりを進める教育を、東京学芸大学が大熊町と共に進めてくれることを心強く思う。

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(プロジェクトに期待をすることを述べる佐藤教育長)