学長室だより

共通テストが終わって。

1月16日、17日と、これまでのセンター試験に変わる大学入学共通テストが実施されました。全国では、53万人が受験し、試験場は681というものでした。本学の割り当ては、約2500名で、コロナ対応など、不安要因が多々ありましたが、大きな問題なく、終了することができました。入試課の職員は、コロナ禍で一層緊張が増す中で、万全の態勢を整えてくれました。入試委員の人たちもよく動いてくれました。

今回の受験者は、制度が変わるという中で、さらに、英語の民間試験の活用や、記述式問題の導入をめぐって、さんざん振り回されました。そのあげくに、コロナ禍の中での受験。健気に受験票を出して入構してくる姿を見ると、何ともかわいそうなことをしたと思います。

大学入試が変わらなければ高校教育は変わらないということは、大学入試改革の必要性としてよく聞くことですが、多少違和感があります。高校教育は高校段階で必要とされる内容を、その先の進路とは、原理的には、別に考えられるべきだろうし、また、大学は大学で、高校で学修されることを踏まえるのはもちろんとして、大学での学びの土台となる知識・技能が身についているかを入試で見るというのが本来の姿と思います。

私の専門から関わることの多かった特別支援学校では、卒業後の進路、就職は重大な問題です。それゆえ、それに直結するような「作業」学習というのが、高等部など上の学年に行くほど重視されるようになります。それはそれなりにわかるとしても、職業科でもないのに、高等部の授業は、1年次から一日中作業、それが毎日の時程となっている学校があることを、かなり前とはなりますが、聞いた時には、どうかな、、、と思いました。また、われわれのような専門家の中に、特別支援学校では、小学部のうちから進路指導が必要なのだと言う人もいました。その時感じた違和感は、思えば、上と同様のものです。

入試改革を行うというのであれば、少なくとも、もう二度と受験生を不安な気持ちにさせることがないよう、きちんと、緻密な議論を積み重ねていくべきだと思います。

これから本学では、学部の前期入試、後期入試が控えており、その間に、大学院の2次募集もあります。コロナ禍はおそらく明けないでしょう。感染対策を十分に行い、入試をミスなく実施し、受験生に対して大学としての誠意を示したいと思います。