学長室だより

"アイ・ラブ・ユー・OK"

6月9日は"ロック"、語呂合わせでロックの日ということで、矢沢永吉さんがライブをやるというので、NHKの夜のニュース番組"ニュース・ウォッチ・ナイン"でインタビューに答えていました。場所は、ライブをする予定の新国立競技場でした。

矢沢さんで強烈に思い出されるのは、30数年前に見たNHKの番組です。それは、すでに成功者として世に知られるようになっていた永ちゃんが、若いときの自分のインタビュー番組を見て、コメントするというもので、20代の永ちゃんは、これまでのことやこれからのことを、既にあの矢沢節で、滔々と話していました。それは、自分やまわりのことをよく分析していて、その大きな野心はそれなりにリアリティのあるものでした。それをしばらく見ていた永ちゃんの言ったことが、「この人、偉くなりますよ」。意表を突くと言いますか、普通では考えつかないようなコメントに、なんとも驚きました。こうした物言いが、嫌な感じにも尊大にも聞こえず、どんどん引き込まれていくというのが、矢沢節だと思います。

実は、わたくし、永ちゃんを、正確にいうと、永ちゃんのキャロルを、高校生か浪人の頃、見にいったことがあるのです。キャロルに憧れていた仲間数人と(そういう時もあったのです)。で、場所はどこかというと、なんと八木山ベニ―ランド。八木山ベニーランドというのは、仙台市の郊外にあるさほど大きくもない遊園地です。その遊園地にキャロルが来たのです。そこは遊園地ですので、家族連れなどが、お弁当を食べたりする芝生の斜面があって、その下のところに小さなステージがつくられて(もちろん、野外です)、そこでいくつかのバンドが演奏するというものでした。キャロルの他にも、サディスティック・ミカ・バンドも出ていました。今思うと、こんなところに!?という他、随分とテイストの違うバンドが一緒に出ていたんだぁと思います。

演奏は夕方から始まり、キャロルが登場したのは、もうすっかり暗くなってからでした。ストロボ照明というのでしょうか、それを使った舞台というのを初めて見ました。一瞬一瞬止まって見えて、それが、まるで静止画か写真のようで、リーゼントに革ジャンでビシッときめたキャロル――永ちゃんももちろんいます――、とてもカッコよく見えました。これもまた強烈でした。

6月9日のインタビューの最後に永ちゃんは、自分が一番最初につくった曲だと言って"アイ・ラブ・ユー・OK"を歌いました。声も体形もまったく昔とかわりませんでした。番組でインタビューしていたアナウンサーの蒼井さんは、「かっこいい!」とは言わないつもりだったが、会って10秒で言ってしまったと話していましたが、もっともだと思います。72歳の永ちゃん、相当な節制、精進、努力があるのだろうと思います。

そうしたかっこいい永ちゃん、当方(6つ下ですが)など到底及びもつきませんが、実はかなり重要な共通点があるのです。それは何かというと、そう、誕生日です。永ちゃんと私とは、誕生日が同じなのです。9月14日。星座は、乙女座です...。