センター長報告

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センター長報告

 HATOプロジェクトも10年目を迎えるにあたり、改めて全体の流れと、特に近年の取り組みについて振り返ってみたいと思います。東京学芸大学では教員養成開発連携センターを中心に、これまで「IR部門」「研修・交流支援部門」「教育支援人材養成プロジェクト」「教育環境支援プロジェクト」「附属学校間連携プロジェクト」「放射線教育プロジェクト」「IB教育プロジェクト」についてイニシアチブを取り、まず補助金期間の6年間を中心に活発に取り組み、多くのプロジェクト成果を積み重ねてきました。
 さらに、補助金終了後の4年間も、ホームページ等を中心に、成果の普及と、その成果を焦点としたネットワークを形成し、改革の流れを促進することに努めるとともに、「研修・交流支援プロジェクト」「教育支援人材養成プロジェクト」「附属学校間連携プロジェクト」「放射線教育プロジェクト」においては、さらにHATO4大学の連携・協働において取り組みを進めることができ、日常の教育研究活動にその成果が溶け込んでいくとともに、他大学との交流・情報交換・連携を深めて、その成果を広げることにつながっていると考えています。

 「研修・交流支援部門」では、PD講座の撮り直しや運用の仕方の工夫に加えて、部門での4大学の活動成果を2月にシンポジウムを開催することで広報するとともに、海外の学会、研究会にも積極的に成果報告を行い、その普及とさらなる進化に努めています。また「教育支援人材養成プロジェクト」では、2021年度で第4回となり、その主催運営を、4大学が回り持ちで引き受けてきた日本教育支援協働学会の研究大会と学会運営を中心に、教育支援職あるいは地域人材の育成が教員養成の中でどのような意味を持ちまた相乗効果を有するかという焦点を持ちながら活動が進められてきました。加えて、ホームページによる授業支援ツールを提供しているところでもあります。
 さらに「附属学校間連携プロジェクト」では、教育実習指導に関するリテラシーを高める動画教材のみならず、その意味や利活用の際のテキストも作成し、また地域ごとにカスタマイズできるシステムとして運用する仕組みについて取り組んでいます。最後に「放射線教育プロジェクト」においては、コロナ禍によるオンライン化の進展が追い風となり、4大学が遠隔地にありながら、一定の単位互換による受講が進み、大きな成果を挙げているところです。
 これらの「協働プロジェクト」に加えてこれまで行ってきた「連携プロジェクト」も、ホームページやアウトリーチ型のワークショップを通して、4大学を超えて成果を活用していただいているとともに、自大学のカリキュラムや種々の教育研究活動に日常的に溶け込んでいることも強調しておきたいところです。

 本学でのHATOプロジェクトの取り組みは、本学の改組やカリキュラム改革に大きな影響を与えたとともに、これを機に、4大学内、さらには4大学以外の大学、そして大学外の様々な教員、教育支援職養成、教育改革に携わる方々との新たなネットワークを形成することにつながっています。そしてその成果が、それ以降の、教育におけるインキュベーション事業や、教員養成カリキュラムの研究開発の礎ともなっています。連携・協働することの難しさや全学的な取り組みの中での相乗効果の挙げ方など、時に課題に直面することもありましたが、その都度、一方では4大学の参加教員と職員の方々のチームワークで、全て十全に乗り越えることができたのではないかと考えています。この意味で、この取り組み自体が、教員養成における質保証と高度化に関する新しい不断の取り組みの土台を、さらに強固なものにしてくれたのではないかと思われます。今後ともに、多くのご意見やご助言をいただきながら、連携・協働の持つポジティブな変革の力を生み出しつつ、大学としての継続的な取り組みを検討し続けていきたいと思います。

教員養成開発連携センター長   松田 恵示