中学1年国語の表現の単元で絵本の読み聞かせを学習するので、お手本に1冊読むことになりました。
「本職の司書さんにお手本を見せてもらいます」
と紹介されましたが、実は中学校ではほとんどその機会がなく、久しぶりの読み聞かせです。
最初の2クラスに読む日は、東京にも雪の予報が出ていたので、こんな本を選びました。
『ゆきむすめ』
内田莉莎子再話 佐藤忠良画 福音館書店
子どものいないおじいさんとおばあさんが、雪で作ったゆきむすめを可愛がるが、やがて夏になって溶けてしまうというお話。佐藤忠良のくっきりした絵で遠目もききます。ただ、最後があっさり終わりすぎ、もう1ページほしいような唐突な印象を受けたので、最後の1文「ゆげはほそいくもになって、ほかのくもをおいかけながら、うえへうえへとのぼっていきました。」をことさらゆっくり、余韻が残るように読んでみました。
4分ほどの短い本なので、おまけにもう1冊。
『うしはどこでもモー!』
エレン・フラスキー・ワインスティーン作
ケネス・アンダーソン絵 鈴木出版
附属司書の1人に教えてもらった楽しい1冊。
イギリスでは犬はバウワウ。スペインではグァウグァウ。
フランスではワウ ワウ。 日本ではワンワンとなく。
でも牛は、どこへ行っても「モー」となくねん。
犬の次にかえる、あひる、にわとりと同じパターンで続き、しかも関西弁なので歯切れ良く、楽しく読むようにしました。
次の2クラスには、ちょうど世界地理でアジアの調べ学習が始まるので、導入の意味も込め、韓国の昔話であるこの1冊を選びました。
『とらとほしがき』 パク・ジェヒョン再話・絵 光村教育図書
泣いているあかんぼうに「おおかみがくるよ」「とらがくるよ」と言っても泣き止まない。「ほしがき」をもらってようやく泣き止むのを家の外で聞いたとらは、ほしがきを恐れて逃げ出すという日本の『ふるやのもり』に似たお話です。韓国の人ならだれでも知っている昔話だそうです。
生徒たちからは
「久しぶりに読み聞かせを聞いたが、とても楽しめた。」
「小学生のころは何も考えずにただお話を楽しんでいたが、今回、抑揚や間、本のめくり方などを注意して聞いていたら、技術に裏付けされていたのだと気づいた。」
などの感想を聞きました。
この後、班ごとに1冊ずつ選び、担当箇所を決めて、ボイスレコーダーに録音するなどの練習を積んだ後、クラス内で発表となるそうです。
(東京学芸大学附属小金井中学校 司書 井谷 由紀)
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