今月の学校図書館 今月は、東京学芸大学附属世田谷小学校のメディアルームの様子と、ここで行われた
学校図書館を活用した授業実践(理科)の公開授業の様子をお伝えします。
文科省の指定事業「確かな学力の育成に関わる実践的調査研究②学校図書館担当職員の効果的な活用法策と求められる資質・能力に関する調査研究」から、授業実践を行い公開していくことになりました。
はじめは、附属世田谷小学校の司書教諭であり、理科専科の先生と司書が行う授業が9月27日に公開されました。
続いて、附属大泉小学校の司書教諭の先生と司書が2年生の国語の授業実践を10月31日に行い、11月12日に附属世田谷中学校で家庭科の授業実践を家庭科担当教諭と司書で行います。
公開授業は(この授業は後ほどデータベースにも載せます。)5年生の理科です。
単元は「秋の天気の変化ー台風の動きとその影響-」です。
担当教諭の話では、「天気の変化」の学習は典型的な情報活用単元である。そのため今まではPCとインターネット資料をもちいた授業が多数行われていた。原点に戻って、図書資料を中心に問題解決をしていくことこそ、実感を伴った理解へつながると考える。
と、述べています。
前時の授業で子どもたちが台風について疑問に思っていることを出してもらっていました。
それを参考にブックトークを作りました。
それぞれがテーマを決めて調べ始めました。
子どもたちは、それぞれ棚に行って自分が調べたいことをたどっていました。
友だちと協力して、調べている子どもたちのグループもいました。
授業の後、協議会が行われました。
・子どもたちが45の分類の棚へ行ったり、学習年鑑、辞書などの参考図書を利用して、
自分たちで探している姿に、図書館活動が日常的に使われ、育てられていることを感じました。
・雰囲気がよく、のびのび自由に学習している様子が見られました。
・インターネットでは、みんなが気象庁に行き着いてしまうが、本はいろいろなものがあり、見せ合っていることがいい。
など色々なご意見をいただきました。
5年生が自分たちで本棚から本を探したり、百科事典や学習年鑑、『広辞苑』などを使うのには、低学年の時から、情報リテラシーを意識して積み重ねてきた結果だと思います。
1年生、2年生では昆虫図鑑を使って、参考図書の使い方を2~3回おこなっています。
昆虫図鑑を二人で一冊ずつ使い、目次、凡例、索引の学びをします。
3年生の一学期、国語の単元で国語辞典の使い方を書く学級で学びます。
その直後に、図書館でポプラディアを使って、百科事典の使い方を行います。このとき、言葉をいくつか書いたワークシートの言葉をまず国語辞典で引いてみて、ないものをポプラディアで探すということを行っています。子どもたちは半分ゲーム感覚で行っていますが、このことは子どもたちの力を伸ばすことでもあります。自分の力で本棚にたどり着き、調べたいことをそれぞれ探せる力になっていきます。
5年生の1学期に行ったトウモロコシのブックトーク
トウモロコシの特殊な受粉、物語から見られるトウモロコシは、開拓時代の人々の貴重な食料であったこと。そして、現在問題になっている化石燃料からバイオエネルギーへ。この
バイオエネルギーはトウモロコシから作られています。
ここで、生産高などを見るためにジュニア朝日年鑑を使いました。
このように学んできたことが、子どもたちが調べ学習をするときに生かされてきたのだと思います。
東京学芸大学附属世田谷小学校 吉岡裕子
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