これからブックトークをします。ブックトークとは、テーマ決め本を紹介していくやり方です。
本日のテーマは古の世界へようこそ
~発見!!徒然ワールド
みなさんは、鎌倉にいかれたことありますか?どこにいきましたか?
生徒 大仏、由比ガ浜、鶴岡八幡宮
鶴岡八幡宮は、日本の三大八幡宮のひとつであり、他に
大分の宇佐神宮、石清水八幡宮そして石清水八幡宮の神仏を分霊したものが鶴岡八幡宮です。
これから読む徒然草の52段は石清水八幡宮が舞台です。
『徒然草』ビギナーズクラッシックスの52段原文をよむ
石清水八幡宮は大きなお宮で山の上にあります。関係あるお寺やお宮が近くにいくつもああって、始めた訪れた人にはまぎらわしいのです。仁和寺のお坊さんは、他の所に参って山に上にある石清水八幡国には登らず、帰ってきてしまいました。
当時は今のようなガイドブックもなかったので、間違えてもしかたがありませんが、出かける前に誰か行ったことにある人にちょっと聞いてさえいれば、こんなまちがいはしなかったでしょう。
みなさんも、人に聞かなかったばかりに仁和寺の法師のようにうっかりとした経験ありますか?
今原文をよんだ本は、『徒然草』ビギナーズクラッシックス日本の古典です。
この本は最初に現代語訳 次に原文そのあとに解釈や注釈が書かれています。
『仁和寺』古寺巡礼京都22淡交社 の表紙をみせながら
仁和寺は徒然草の中でもっとも話題に上ることの多い寺院です。
仁和寺も石清水八幡宮も今の東京ディスニーランドのように大勢の人でにぎわっていたそうです。この作品を書いた兼好法師がどのような時代を生きたかをお話する前に
日本の三大随筆を知っていますか?
随筆とは、自分の見聞きしたことや心に思い浮かんだことを書き綴った文章のことをいいます。
年表をみせる。
絵で読む日本の古典『枕草子・徒然草』表紙をみせながら
「春はあけぼのようよう白くなるゆく山ぎは すこしあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。」暗唱し、
この人はだれかわかりますか?
生徒 清少納言と答えると
そうですね。
清少納言は1001年平安時代に枕草子を書かれました。そのときの天皇である一条天皇の中宮后である定子さまに仕えていました。宮廷での体験や感想を理知的な文章でつづり、300段あり、簡潔でリズミカルな文体です。
「をかし」という明るい美意識 で、をかしとは、物事の明るい面やさっぱりした感じを表すことばとして使っています。
次に鴨長明の姿の絵をみせ
『方丈記』の冒頭を暗唱する
年表を指さしながら、鴨長明は、方丈記を鎌倉時代前半1212年に書かれました。
飢饉や地震があり、京でおこったわざわいの記録や世の中の混乱と人生のはかなさを流れるような文体述べています。
『ビジュアル版 日本の古典に親しむ徒然草・方丈記』世界文化社のなかの鴨長明と吉田兼好の絵をみせながら
今日のテーマである徒然ワールドの主人公
兼好法師こと吉田兼好は本名を占部兼好といいます。どうして占部かねよしというか、あとでみなさんが調べてみてください。
兼好法師の絵をみせながら、年表を指さし、
徒然草は序段と243段からなっており、1331年ごろ書かれました。
鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて生きたひとです。
皇室は南朝(後醍醐天皇吉野)北朝(足利尊氏)と二人の天皇が存在し、政情は不安定でした。それに加え、疫病や飢饉、中国の元が攻めてきたりし、人びとの神仏への信仰が強くなりました。そして仏教の無常観「世の中のものごとはすべて移り変わり、とどまることがない」という考えに大きく影響を受けました。
無常の世の生き方や人間あり方、自然の美しさなど、自由にのべ、まとまりのよいすっきりとした文体は枕草子の影響を受けたものを言われています。
兼好はこうした時代のなかで、貴族社会から30歳の頃離れて出家し、山里の庵でひっそり暮らしながら作品を残しました。
さて、兼好法師はどんなところにすんでいたかというと双ヶ丘
地図を指さし、
『兼好法師すまいを語る』TOTO出版
徒然草の55段、このなかで京都は夏暑く冬さむいのですが、この本で家は夏向きに考えて作ったほうがよい、庭を流れる遣り水を深くしてはいけない。浅くて流れる水のほうがずっと涼しく感じると書かれています。この本は皆さんが一年のときに御伽草子のものぐさ太郎をやりましたが、あのときの4本の竹とこもをかけただけの家がのっています。
次に紹介する本は、
『徒然草・方丈記』嵐山光三郎 講談社
現代語訳とかげの声として、嵐山光三郎さんの考えかたまたは、兼好法師の考えが書かれています。
私が徒然草で影響を受けた段は92段で
二本の矢のお話で初心者が2本の矢を持って射ようとしたとき、師匠が矢を2本もっては、いけない。次の矢があると思い油断する。射るたびにうまく当たるかどうか失敗しないか考えずに、この一本で勝負がきまるように考えるというお話の段です。
高校時代、テニスをしており、サーブするときは2球手に持ちサーブをしていましたが、このときから1球ずつ手にもち、魂をこめて打つようになりました。
次に紹介する本は
みなさんが京都に来年修学旅行に行きますが、兼好法師の美学がつまった一冊で写真も美しく参考になると思います。
137段の月の美しい写真をみせる
『徒然草の京都を歩く』蔵田敏明 淡交社
つぎに『徒然草REMIX』酒井順子を紹介します。
清少納言と兼好法師がかけあいで徒然草の魅力を語っている本です。
コラムでみなさんがこれから調べる段が事件として扱われています。
徒然草ワールドから古典の世界の扉を開けて行って欲しいと思っています。
700年前の鎌倉時代から兼好法師の息づかいを感じてください。
では、みなさんと
最後に序段を暗唱しましょう。
『絵本版徒然草 』橋本治 河出書房新社 みせる
つれづれなるままに 日暮らし 硯にむかいて 心にうつりゆくよしない事をそこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。
絵本徒然草橋本 治
河出書房新社(1990/08)
値段:¥ 2,307
ここのワゴンにある本は公共図書館や附属学校から集めた本です。
ぜひ手にとってみてください。
紹介した本
1冊目『徒然草』ビギナーズクラッシックス
2冊目『仁和寺』古寺巡礼京都22淡交社 表紙みせただけ
絵で読む日本の古典『枕草子・徒然草』 田近じゅん一 ポプラ社 表紙のみ
3冊目『ビジュアル版 日本の古典に親しむ徒然草・方丈記』世界文化社
4冊目『兼好法師すまいを語る』西和夫 TOTO出版
5冊目21世紀版少年少女古典文学館10『徒然草・方丈記』嵐山光三郎 講談社
6冊目『徒然草の京都を歩く』蔵田敏明 淡交社
8冊目『徒然草REMIX』酒井順子 新潮社
9冊目『絵本 徒然草 』 橋本治 河出書房新社
このとき紹介しなかったが『はじめて出会う古典作品集 土佐日記・枕草子・更級日記・方丈記・徒然草・おくのほそみち』光村教育図書
徒然草の背景や兼好法師の人となり、三大随筆の比較がでており、内容がすぐれていました。
絵で見てわかるはじめての古典4『徒然草』田中貴子 学研
徒然草のことを中学生にわかりやすく、古典の世界が楽しく広がるように工夫がされている本です。(時代背景・兼好の履歴書・4コママンガ、カルタ・暗号文・条件文・言葉遊び、三大随筆の比較やブックトーク)
日本の古典をよむ14
『方丈記徒然草』神田秀夫・永積安明・安良岡康作 小学館
(東京学芸大学附属竹早小中学校 司書 岡島玲子)
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