学長室だより

学ぶということ、、、

いつのまにか12月となり、今年を振り返る時期となりました。今年はともかくコロナの対応に追われた年でした。大学も緊急事態宣言を受けて、大学を閉じるということをしました。おそらく開学以来初めてのことと思います。学生の姿のまったくない閑散とした大学の光景というのは、なんとも異様なものでした。

季節も過ぎていったはずなのに、何かのっぺらぼうの一年間だったような、たしか夏はいつまでも暑かったと思うのですが、それもなんだか、あったようななかったような...。おりおりの行事、人の動きと関係するような様々な出来事というのが時の経過にとって大事なのだなと痛感しています。

学生のみなさんは、新入生もちゃんと履修登録をしてくれ、よく頑張ってくれました、しかし、ほんとうに可哀そうなことをしたと思います。前回の学長室だよりに書きましたが、4年生は最後の一年を、何かわけのわからないうちに終わってしまったような感じをもっているのではないかと思います。

一昨日、夜のNHKのニュースで、フランスの映画監督のパスカル・プリッソンさんの"94歳の小学生"という映画が紹介されていました(https://www.gogo-movie.jp/)。これは、ケニヤの小さな村でずっと産婆をつとめてきた94歳の女性、"ゴゴ"(おばあさんの意)が、ひ孫たちが学校に行っていないことを知り、ひ孫たちに就学を勧めようと自ら小学校に入って手本を示そうとする姿を追ったものでした。それは、自分が学校で学ぶことが許されず、それゆえに学ぶことの大切さを痛感していたからで、子どもたちと同じ緑色の制服を着て通学し、学ぶ姿が紹介されていました。彼女の部屋の扉には「学ぶことに年齢は関係ない」という看板が掛けられているそうです。さらに、番組では、通学に大変な困難を抱えながらも、健気に学校へ通う子どもたちの姿を撮った"世界の果ての通学路"(http://www.sekai-tsugakuro.com/)という同じ監督の映画も紹介されていました。その中では、サバンナの象の群れを避け、草陰に隠れ隠れしながら片道2時間かけて通学(!)するケニヤの兄妹の姿の映像が紹介されていました。その少年は、現在、国の法科大学院の学生になっており、インタビューに答えて、自分の将来は学問にかかっている、学ぶことは毎日闘うことなんだと話していました。監督は、当たり前のようになっている学べる幸せ、学校に行ける幸せをあらためて感じてほしいとコメントしていました。私は不勉強にもこれらの映画のことを知りませんでした。番組の中でちょっと紹介されただけでしたが、感動しました。教育、そして学ぶということの原点というものをあらためて思い知らされた思いです。

我々は幸いにも教育者を養成する仕事についています。子どもたちを教育する学生を教育する仕事です。学生自身が学ぶ喜びを感じながら、子どもたちに学ぶ喜びを伝える教育者になってほしいと思います。そうした大学づくりを進めていきたいと思います。

コロナ禍はなかなか明けませんが、引き続き、学生のみなさんの学修、キャンパスライフの保障に、学長、理事、副学長一丸となって努めていきたいと思います。本年もいろいろありがとうございました。来年もよろしくお願いします。よいお年を