東京学芸大学附属特別支援学校創立70周年
大分、間が空いてしまい、失礼しました。今回は、本学の附属特別支援学校のことです。附属特別支援学校は、今年で創立70周年を迎えます。10月6日に、毎年開催されている学校あげての行事である「若竹まつり」と合わせ、記念式典が行われました。私も式典で簡単な挨拶をし、また、記念誌に原稿を寄せました。その原稿と、式典当日の挨拶で、在校の児童・生徒のみなさんに向けて話したこととを合わせて掲載いたします。
――――――記念誌への寄稿文――――――
東京学芸大学附属特別支援学校が、創立70周年を迎えることになりましたこと、学長として大変うれしく思います。
本校は、知的障害を有するお子さんの学校として、わが国の草分けとなった学校です。その自負をもちまして、今日まで教育実践並びに大学の附属学校としての務めを果たしてまいりました。こうして70周年を迎えることができましたのも、関係のみなさまのご協力・ご支援のおかげと感謝しております。
私は、1999年に前任校から本学に転任してまいりました。特別支援が専門ですので、赴任した直後から本校には、折を見て出向いておりましたが、入学式や卒業式などの行事に必ず出席されていた方に、当時の若竹会の会長の津田由夫さんがいらっしゃいます。70歳代後半のようにお見受けたしましたが、本校の開設に保護者として関わった方でした。お会いするたびにこうした学校の存在の重要性を語られ、お子さんのために学校づくりに奔走され、大学幹部のところへ日参されたこと等お話しくださいました。まことに貴重なお話しで、そのご苦労、お子さんを思うお気持ちに打たれました。日本の特別支援教育の歴史をつくられたお一人と言っていいでしょう。そうした方に出会うことができたのは、本学に転任してきたればこそで、まことに幸運でした。そうした先人の方々のご苦労に、今あらためて思いをいたしつつ、今後も、附属学校・大学ともども、日本の特別支援教育を先導する取り組みを進めていきたいと思います。引き続きのご支援・ご協力をお願いいたします。
――――――児童・生徒のみなさんに向けて話したこと――――――
児童・生徒のみなさん、学長先生が少しお話します。ちょっと聞いてくださいね。みなさんの附属特別支援学校は、今年で70周年を迎えます。人間でいうと70歳になるということです。学長先生は、今年で69歳になりました。だいたい同じ歳ですが、学校の方が、1つ上、お兄さんということになります。学長先生は、こんな風に頭がはげたり、脚が利かなくなったり、大分老けましたが、学校の方は、今から20年前に大きな改修工事――傷んできたところを直したのですね――をしたので、そして、また、みなさんが学校を大事に、大切に思ってくれているので、こうして元気に70周年、70歳になることができました。人間で70歳というのは古稀と言います。これは、昔は、70歳まで生きるのは、古来稀れなり、つまり、あんまりないということから言われたことです。こうした歳まで学校が長生きできたことを、学長先生は、大変うれしく思います。みなさんも同じ気持ちになれるとうれしいです。児童・生徒のみなさん、この学校は、みなさんの学校です。これからもずっと、学校のことを大切に思ってくださいね。これで学長先生のお話はおしまいです。静かに聞いてくれてありがとうございました。以上です。