学長室だより

学制150周年記念式典のこと

9月5日(月)、国立劇場で行われた学制150周年記念式典に出席しました。報道では、600名程度の参加となっていましたが、そんなにいたかなぁという感じでした。が、来賓としては、三権の長たる総理大臣、衆院議長、参院議長、最高裁長官がいらしており、何より、天皇皇后両陛下がおでましになられました。驚くとともに、これは、そうした重みのある式典なのだとあらためて思いました。

学制発布は、その序文の「邑に不学の人なく、家に不学の人なく」という言葉が有名で、明治政府は、就学者を増やすことを強力に進め、障害をもった人も多く学校に集められたと聞きます。義務教育の始まりを記す歴史的な出来事で、わが国が近代国家としての体裁を整えるために重要な事業だったのだと思います。

天皇陛下のお言葉の中に、「学制発布は、すべての人々が基礎的な学校教育を受けられるようにするという構想を掲げたものでありました。この構想に沿って関係者がたゆみない努力を続けてきたことは、わが国の発展にきわめて大きく寄与したところであり、ここに先人の努力に深く敬意を表します。」というものがありましたが、まったくその通りだと思いました。

学制150年記念式典 天皇陛下がお言葉(2022年9月5日) - YouTube

本学は来年で創基150周年を迎えます。"創基"なるあまり聞きなれない言葉を用いているのは、師範学校の時代まで遡って大学のルーツを考えているからです。東京府小学教則講習所の創立が1873年(明治6年)。学制発布に遅れること、たった1年です。ちなみに私の母校の東北大学のホームページを見たところ、1907年(明治40年)の創立と記載されておりましたので、本学の方が遥かに長い伝統を有しているということです。創基150周年を記念するいくつかの行事も計画しています。本学は、今年から教員養成フラッグシップ大学の指定も受けることができました。創基150周年の伝統を踏まえ、「有為の教育者」の養成という本学の使命を、引き続き粛々と果たしていこうと思います。

東京学芸大学創基150周年記念事業のご案内