修士課程

目的・ポリシー

修士課程の目的

東京学芸大学大学院教育学研究科(修士課程)は、学部における教養教育及び専門教育の基礎の上に、豊かな人間性と科学的精神に立脚した教育研究活動を通して、高度な知識と技能を修め、21世紀の知識基盤社会を担う「有為の教育者」を養成することを目的としています。

平成31年度に改編した新しい修士課程は、「教育の未来構想」を先導するためのグローバル、教育AI(人工知能)、臨床心理、教育協働などの、これからの社会で求められる先端的な「プラスα(アルファ)=テーマ」に焦点を合わせ、その内容を教育の側から改めて捉え直すとともに、それら「プラスα=テーマ」の専門性をも兼ね備えた、総合的で新たな能力を身につけた教育者・研究者を育てることを目指します。

アドミッション・ポリシー

次世代日本型教育システム研究開発専攻

本専攻は、日本型教育システムについての研究開発の目的意識を持ち、次世代の日本型教育システムの教育研究に積極的に取り組むことのできる人材育成を目的とし、入学者選抜においては、本専攻で学ぶ上で必要とされる知識・態度・能力等を有しているかを判断するために、学力検査、面接試問、出願書類により総合的に評価を行い、以下のような人を受け入れます。

(1) 次世代の日本型教育システムをみずからの手で研究開発し、その成果を新しい教育の実践・制度に反映させることで社会に貢献しようとする意欲のある人

(2) 学士課程において学んだ自身の専門研究分野に関して基礎的知識を有し、日本の文化と日本型教育システムの特長と課題に関する基礎的知識を有している人

(3) 次世代日本型教育システムについての研究成果を国内外で積極的に発信するためのコミュニケーション能力・語学力を有する人

教育支援協働実践開発専攻

本専攻は、「教育の高度情報化(AIサービスの活用等)」、「教育における心理支援」、「教育における連携・協働化」に対応し、学校教育の内外での教育支援協働において先導的役割を果たす人材を養成することを目的とし、入学者選抜においては、本専攻で学ぶ上で必要とされる知識・態度・能力等を有しているかを判断するために、学力検査、面接、出願書類により総合的に評価を行い、以下のような人々を求めています。

(1) 学校教育と教育支援についての知識を有し、専門職業人にふさわしい能力と技能を高度化させ、社会にとって有為の教育者を志す人

(2) 現代社会における教育の課題について十分な認識を有し、その解決に積極的に貢献し、教育支援協働の先導的役割を担うことを志す人

(3) 教育実践と教育支援協働に関する基礎的な研究・開発能力を有し、その創造性・独創性を発揮し、この分野での先端的研究に貢献することを志す人

(4) 教育支援協働についての教育・研究の成果を、国内外で積極的に発信するためのコミュニケーション能力・語学力を有する人

本専攻は3つのプログラム を展開するために、それぞれにおいて特に以下のような人を優先的に受け入れます。

教育AI研究プログラム:

1)高度情報化に対応した教育を、自らの手で研究開発し、教育の分野でAIサービスを利活用することで社会に貢献しようとする意欲のある人

2)学士課程において学んだ自身の専門研究分野に関して基礎的知識を有し、技術の発展による社会の変化と教育の課題に関する基礎的な知識を有している人

臨床心理学プログラム:

1)学校教育を臨床心理学の専門家としての立場から支援するため、自らの臨床心理学に関する専門性を深め、スクールカウンセラーや教育相談員等として、学校教育や教育臨床の分野で社会に貢献しようとする意欲のある人

2)学校教育や教育臨床における臨床心理的課題についての基礎的な知識と活動経験を有している人

教育協働研究プログラム:

教育協働研究プログラムガイド

1)学校教育を支援するため自らの教育支援協働に関する専門性を深め、教育支援協働の分野で社会に貢献しようとする意欲のある人

2)教育支援協働についての基礎的な知識と活動経験を持ち、その経験知を理論化することに意欲のある人

カリキュラム・ポリシー

次世代日本型教育システム研究開発専攻

教育のグローバル化・国際標準化に対応した次世代日本型教育システムの研究開発力および教育実践力を身につけさせるため、本専攻のカリキュラムは、専攻基盤科目、専攻基礎科目、専攻展開科目、専攻発展科目(フィールド研究)、特別研究によって、以下のように構成されています。

本専攻においては、次世代日本型教育システム研究開発に向けて、教育学の基礎と応用、グローバル・シチズンシップ育成・持続可能な社会構築、教科内容に関わる理論と実践、国際的な開発支援・開発教育研究、日本文化・日本語教育という5つの核となる学修テーマを、「次世代育成領域」「教科内容領域」「多文化共生教育領域」「日本語教育領域」という4つの教育学上の専門領域に関連づけて、授業科目を編成しています。

(1) 専攻基盤科目は、教育の実践的・専門的課題について学ぶために、同じ教育学研究科にある専門職学位課程の専攻科目のうち、学校教育の根幹となる教育課程に関わる1科目、さらに、次世代教育・教育の国際標準化・多文化共生のための基礎的な知識習得を目的として本専攻が開設する3科目(1科目は英語による授業)の、計4科目を必修とします。

(2) 専攻基礎科目は、上記必修の専攻基盤科目に加えて、すべてのコア・テーマに関わる本専攻の専門基礎的な内容を複数の領域の学術的観点から扱う授業科目を1科目2単位以上履修します。

(3) 専攻展開科目は、各コア・テーマを専門的・発展的に扱うため、授業の中で扱うテーマと、それを扱う際の教育学上の観点を限定して学ばせる、本専攻の専門的な科目群です。

 専攻展開科目の各科目群である「次世代日本型領域:理論と実践」「教科内容関連科目」「地域文化」「異文化間交流」「Project Study on Education in Japan」「日本語教育」「Global Citizenship and Sustainability」「Global Education from Intercultural/Interdisciplinary Perspective」は、それぞれ複数の教育学上の専門領域によって内容が構成されており、全体として4科目8単位以上、履修します。

 そのうち、語学学習の内容が含まれる後者(英語による授業または日本語教育の授業)の4つの授業科目群から2科目4単位以上を選択必修し、本専攻の専門性に関わる語学力・コミュニケーション能力を習得します。

 また「教科内容関連科目」は「教科内容領域」に関わる科目であり、教職大学院の教科内容・教育課題に関わる科目を履修し、学校教育について選択的に深く学びます。

(4) 専攻発展科目であるフィールド研究は2段階で国内外に展開し、それぞれフィールドでの教育研究活動に事前の学習と事後の省察を組み合わせ、理論と実践を往還させます。

 「フィールド研究A」(国内)または「Global Field Research A」(国外)は1年次に履修し、教育のグローバル化・国際標準化と日本型教育システムに関する基礎を実践的に学びます。

 「フィールド研究B」(国内)または「Global Field Research B」(国外)は2年次に履修し、日本型教育システムの国際展開を実践の場で試行します。

(5) 特別研究では、在籍中の学修をもとに、指導教員による修士論文の指導をつうじて、教育の国際標準化を先導し、日本型教育システムの国際発信に貢献する修了研究をまとめます。

教育支援協働実践開発専攻

学校教育の内外で教育支援・教育協働に先導的役割を果たす人材を養成するため、本専攻のカリキュラムは、専攻基盤科目、専攻基礎科目、専攻展開科目、専攻発展科目(フィールド研究)、特別研究によって構成されます。特に専攻基礎科目・専攻展開科目・専攻発展科目においては、教育課題に即した高度な専門性に基づき教育支援・教育協働をプロモーションする能力を身につけさるため、教育支援・教育協働の特に方法に関する「強み」を習得させるべく、「教育の高度情報化(AIサービスの活用等)」、「教育における心理支援」、「教育における連携・協働化」の観点から履修のあり方を類型化(パッケージ化)し、「教育AI研究」、「臨床心理学」、「教育協働研究」の3つのモデルを「プログラム」とした上でそのまとまりに基づいて履修します。

(1) 専門力育成の基盤として、学校教育についての専門基礎知識を学ぶためと、教育支援人材としてのジェネラルな能力を育てることを目的として、専門職学位課程の専攻科目を含む「専攻基盤科目」を設定しています。

(2) 各プログラムに基づく履修の基礎を培うために、それぞれのプログラム毎に「専攻基礎科目」を設定しています。

(3) 各プログラムの「専門力」、「企画提案力」、「分析的実践力」を育成するために、「専攻展開科目」を設定しています。

(4) 専門力、企画提案力、分析的実践力を確かなものにし、「コミュニケーション力・チーム構築力」「チャレンジ精神・主体性」を身につけるために、「専攻発展科目」を設定しています。学んできた内容を統合しプロモーション能力として確かな力量を形成するためにも、「専攻発展科目」では特にそれまでに培った力を基本にして、プログラム毎に指定されたフィールド(プログラム独立・融合)において、サービス・ラーニング(社会実践活動と学修活動を両立させる方法)としての履修を行います(フィールド研究)。

(5) 大学院修了後に即戦力となることができる力量形成を目指し、あわせて「教育支援協働学」の構築に資する考究を行う特別研究を履修し、修士論文に結実させることで、知見の深化と研究能力の高度化を図ります。

ディプロマ・ポリシー

次世代日本型教育システム研究開発専攻

次世代日本型教育システム研究開発専攻においては、教育のグローバル化・国際標準化に対応し、日本型教育システムの海外発信と国内教育のグローバル化、在外教育施設の支援のために必要な実践的教育力および研究開発能力として、以下のいずれかの能力を身につけた人に修士号を授与します。

(1) 学校教育における次世代日本型教育システムについて十分な知見を修得し、国内外の教育組織の管理・運営スタッフと連携して、日本の文化と教育システムを国際的に展開できる能力

(2) 現在の日本型教育システムの課題と可能性を明らかにし、次世代の日本型教育システムを研究開発できる能力

(3) 日本型教育システムの課題と特長を、国内外の教育機関で実践的に解決・発展させる能力

教育支援協働実践開発専攻

教育支援協働実践開発専攻においては、学校教育の内外で教育支援・教育協働に先導的役割を果たすため、以下の能力を身につけた人に修士号を授与します。

(1)「専門力」:教育における連携・協働の前提となる、「教育の高度情報化」「教育における心理的支援」「教育のネットワーク化」についての基礎的な知識を持つとともに、特定の領域での高い専門性を備え、教育における連携・協働について深く洞察できる力。

(2)「企画提案力」:教育における連携・協働の可能性と限界について基本的な理解を持つとともに、現代の教育課題のどの場面で、どのように教育AIや心理的支援の方法、教育ネットワークを活用できるかを考え提案することができる力。

(3)「分析的実践力」:学校教育の諸側面でAIの利活用や心理的支援、連携・協働を進めるために、教育に関する様々なデータを収集・分析し、具体的に現場を改革できる実践力。

(4)「コミュニケーション力・チーム構築力」:教育支援・教育協働において、学校や企業、行政、地域と協働し、学校において求められる教育改革を進めていく「チーム」を構築する力。

(5)「チャレンジ精神・主体性」:教育に関する高度な専門性に基づき、教育課題を自ら発見しそれを解決することを通して、教育改革を推し進めようとする力。また、組織内や自らでも事業を立ち上げようとする起業家精神に基づく力。