書籍

教員の書籍・教材

東京学芸大学ではいろいろな機関と連携して、さまざまな研究を行ってます。また東京学芸大学の各教員の研究も膨大な数になります。ここではそれらの中から、新しい研究、先進的な研究を紹介します。 現在は東京学芸大学の教員の書籍のみ紹介しています。


『自然を読み解く山歩き』

タイトル

『自然を読み解く山歩き』

著者

東京学芸大学教授 小泉武栄 地理学分野(著)

出版社

JTBパブリッシング

ISBN

78-4-533-06649-8

発行日

2007年4月 1日

定価(税込)

1575円

内容

 近年、エコツアーが盛んになり、たくさんの人が野外にでるようになってきた。しかしそのレベルは決して高くはなく、植物や昆虫の名前を教えてもらうことで、満足している人がほとんどなようである。

 私が案内するエコツアーでは、野外でさまざまの不思議を発見し、それがなぜ生じたのかを、頭を使って次々に解きながら歩く。たとえば東京にカタクリが生育しているが、カタクリは実は日本海側の多雪山地を本拠地とする植物で、東京のカタクリは氷河時代に南下してきたものの生き残りである。したがってその分布は、特別涼しい場所に限られている。野外ではそこがどんな場所でなぜ涼しいのかを考える。

 このように、私のエコツアーでは観察の対象は植物に限られず、地形・地質や自然の歴史にまで広がる。慣れていない人は最初とまどうが、最後には自然の全体像を把握することができるようになるため、満足度が高い。

 この本は筆者が実施してきたエコツアーを本にしたもので、いわば山や野の自然を3倍楽しむためのガイドブックである。地図がついているので、ぜひ本を片手に野外を歩いていただきたい。


『江戸の教育力― 近代日本の知的基準』

タイトル

『江戸の教育力― 近代日本の知的基準』

著者

東京学芸大学 教授 大石学(著)

出版社

東京学芸大学出版会

ISBN

978-4-901665-08-7

発行日

2007年3月30日

定価(税込)

1260円

内容

NHK大河ドラマ「新選組!」の時代考証もした江戸時代史の達人、東京学芸大学の大石学教授が書いた江戸時代の教育に関する本。幕府の教育政策から子供たちの寺子屋での様子までいきいきと、わかりやすく描かれているため、庶民の教育熱が高く7万もの寺子屋があったと言われる江戸時代の教育状況がよく理解できます。

「意外や意外、江戸時代は武士も農民も町人も
上下の別なく教育熱が高かった―。
武士の子弟が通う藩校は全国で300近く、
庶民の手習所(寺子屋)はなんと約7万とも。
当時の外国人も驚いたその教育の広まりは、
実は明治以降の急速な近代化を支えたものでもあった。
江戸時代を「初期近代」ととらえる、新たな見方を示す一冊。」(本書より)


『日韓交流の歴史』

タイトル

『日韓交流の歴史』

著者

歴史教育研究会[日本](編)
歴史教科書研究会[韓国](編)

出版社

明石書店

ISBN

978-4750324838

発行日

2007年2月22日

定価(税込)

2940円

内容

●歴史教育研究会(日本)、歴史教科書研究会(韓国)編

 東京学芸大学と協定校ソウル市立大学との10年間に及ぶ学術交流の成果。 両校の教員と卒業生合計40名による徹底討論でできあがった共通の叙述。 日韓の交流の歴史を先史時代から現代まで通史として描いた日本最初の試み。 民間の立場から、日本と韓国の歴史の共通認識を探る。

 「真実を粗末にする歴史は、歪められた歴史であって、相手国に対する文化の侵略ともいえます。そこから生まれた誤った歴史認識は、偏った人間を作り出し、それでは自分の正しい自画像も描けなくなるでしょう。それはとても悲しく不幸なことです。」(本書、「刊行にあたって」より)


教師教育改革のゆくえ-現状・課題・提言-

タイトル

教師教育改革のゆくえ-現状・課題・提言-

著者

東京学芸大学教員養成カリキュラム開発研究センター(編)

出版社

(株)創風社

ISBN

978-4883521203

発行日

2006年12月 1日

定価(税込)

1890円

内容

 本書は、本学教員養成カリキュラム開発研究センターがこれまで行ってきた様々な共同研究の成果に基づく書籍である。学校教育、教員養成、教員研修のそれぞれの現場でいま何が起こっているのかを明らかにしながら、それぞれの現場が抱える課題を描きだしていく。そして、これからの教員養成の政策、システム、カリキュラムへの提言を行う。


『小林弘珪藻図鑑 第1巻 -Dr. H. Kobayasi's Atlas of Japanese Diatoms Based on Electron Microscopy. Vol.1』

タイトル

『小林弘珪藻図鑑 第1巻 -Dr. H. Kobayasi's Atlas of Japanese Diatoms Based on Electron Microscopy. Vol.1』

著者

東京学芸大学准教授  真山 茂樹 (共著)

出版社

内田老鶴圃

ISBN

9784753640461

発行日

2006年11月14日

定価(税込)

35700円

内容

 珪藻分類の第一人者であった故小林弘東京学芸大学教授の名を冠した、電子顕微鏡写真を中心に据えた本格的な図鑑。和文と英文からなる。

 珪藻は池、川、海といったあらゆる水域に暮らす単細胞性の生物である。その細胞はガラス質の殻で覆われているが、その形やそこに刻み込まれた模様は実に多様であり、ミクロの芸術を彷彿させるるものがある。

 かつて我が国には珪藻の図鑑が存在せず、人々はその分類に手を焼いていた。今から30数年前、小林弘博士は珪藻の図鑑を作るべくプロジェクトを開始したのであった。しかし、我が国は珪藻研究では後発国であり、重要な標本はすべて海外にあったため、その作業は難航した。そして1996年、小林博士は図鑑の完成を見ることなく70年の生涯を閉じたのである。その後、博士に師事した本学の真山茂樹准教授を中心とする4人の研究者がこれを引き継ぎ、ようやく完成したのがこの図鑑である。4人の研究者は皆、学芸大学出身であり、使用した電子顕微鏡も本学保有の物。まさに学芸大学パワーで作られた図鑑である。

 本図鑑では、電子顕微鏡観察による詳細な微細構造の観察に基づいて珪藻の分類が行われた世界でも類を見ないものである。また、本書では全種類の水質汚濁耐性が記されているほか、約半世紀にわたり著者らが記録した出現地が記載されており、分類学だけでなく生態学的にも貴重な資料を提供している。

 珪藻殻の造形は見ていて飽きない美しいものである。専門の研究者でなくとも、一度本書を手にとって、ミクロの神秘を肌で感じ取りたいものである。