2020年アーカイブ

新型コロナ・ウィルスの感染拡大が続くなかで、、

6月2日より8月末までを期間とする学生に対する緊急支援をお願いしたところ、8月末を待つことなく、目標金額である1000万円に達することができました。わずか2カ月です。前の学長室だよりでも記しましたが、本学が、本学に思いを寄せてくださっている多くの方々に支えられていることを再度実感いたしました。まことにうれしく、ありがたく存じます。

感染拡大が続き、東京では、感染者が3ケタとなってすでにひと月近くたっています。学生には、感染者にはもちろん、感染を広める側にもなってほしくないと強く願っています。そのための注意喚起を、本学新型コロナ感染症対策室を中心に繰り返し繰り返し行っているところです。

そうした中、気になっていることは、PCR検査のことです。最近は、状況は改善されているようですが、なぜ検査がされないのか、政府が目標値を言っているのに、その数字に届かないとはどういうことなのか、私にはずっと理解できないことでした。

若者では、罹っても無症状や症状が軽いことが多いと言われています。とすると、気づかずに感染源となっていることがあるということで、それを止めるためには、感染しているかどうか検査を受けることしかないと思います。われわれは、若い学生を預かる現場をもっています。繰り返しになりますが、彼らには、感染者にも、感染源にもなることのないよう思っています。

政府はもはや経済活動を止めないという方向に舵を切ったように見えます。とすれば、PCR検査を広くやって、感染者を見つけ出し、そこから広がらないようにするというのは必須のように思います。経済活動と感染症対策、バランスをとる道は、検査の拡大しかないように思うのですが、どうでしょうか。検査が行われないということの他、われわれは、マスク、手洗い、消毒液等の入手にも苦しみました。医療従事者にも必要な物資が行き渡らず、大阪で府知事と市長とが並んで防護服に代える雨がっぱの提供を一般市民に呼びかけているのをテレビで見た時には、これが日本か、、と思いました。それでも言われたのが、「日本モデル」。こうしたことが次には生じないように「目詰まり」はどこで起こっていたのか、しっかり検証して、次に備えてほしいと思います。第2波、第3波は必至と言われ、すでに第2波の中にいるとも言われているのですから。

本の背表紙を見るということ

名著"分裂病と人類"(東京大学出版会、UP選書)の著者、精神医学の泰斗にして翻訳家の中井久夫氏の書棚には、本が背表紙が見えないように裏返しに差さっていると言います。その理由を尋ねられて中井氏は、背表紙が見えるとあの本にはこう書いてあった、この本にはこう書いてあったといろいろ浮かんできてうるさいのでこうしていると答えたと言います。これは、希代の読書家の中井氏にして、初めて言い得る境地だと思いますが、私のようなものでも、書棚の前に立つと、見るともなく、背表紙のタイトルをひと渡り見てしまいますし、大体どんな本があるか、それなりに理解します。書棚の前に立つということは立派な読書経験だと思います。

コロナ禍を契機とした取組として「学芸大デジタル書架ギャラリー」を本学附属図書館で公開しています。これは、本学図書館の中の書架の画像、つまり、背表紙画像を提供するものです。「何のために本の背表紙の画像を?」と思われるかもしれませんが、アンダーコロナで、図書館の書架の前に立って、ざっと本を眺める(ブラウジング)ということが十分にできない現在、それに代わるものを提供しようとするものです。何ということのないもののように思われますが、図書館の機能というものをよくよく理解している人でないと考えつかないものだと思います。本学学術情報課の高橋菜奈子課長の発案によるもので、本学の職員ながら、感心しました。本学のHPのpick upのコーナーからもアクセスすることができますので、是非ご覧下さい。また、デジタル書架ギャラリーのページには、東京学芸大Explayground推進機構とともに開発した「3D書架」もリンクされています。マウス操作だけでも十分に楽しめるものです。こちらもご覧いただければと思います。

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