2020年アーカイブ

緊急事態宣言が解除になって

緊急事態宣言が解除になり、本学も平常化に向けて動き出しました。

附属学校の子どもたちは、6月1日から時差・分散登校を始めます。大学の方は、分散とはなかなかできず、それゆえ、十分な感染対策をとる必要があり、それには種々準備が必要で(アルコールなどは品薄が続き、調達に苦労しています、このことについてはいずれまた記したいと思います)、6月一杯は今の状態を続けざるをえません。7月になって感染状況に変化がなければ、一部の授業に限定して、対面での実施も視野にいれていくことにしました。

このひと月、教員には遠隔で授業を行ってもらいましたが、慣れないことで、なかなか大変だろうと思っていましたが、やってくれている何人かの教員から、話を聞く機会がありました。そうした中で、遠隔授業には、こうした事態に対する緊急の応急措置ということ以上の可能性があるように思いました。

例えば、確かにいろいろ大変なことはあるけれど、遠隔授業では、頻繁に学生とメールのやりとりをする必要があり、その中で学生の考えていることがよくわかり、中にはこんなふうに考えていたかと思うところもあったりして、これまで必ずしも十分でなかった学生とのコミュニケーションが図られ、期せずというか、強いられてというか、かなり密度の濃い個別指導をすることになっている...。

また、オンライン型の遠隔授業では、Teams(本学ではマイクロソフトと包括契約をしているのでオフィスメールとともにすぐに使えるようになっています)の使い勝手がよく、いろいろなところで利用できるのではないか、特に大学院の夜の授業等にもっと利用したらどうか...。私も、このところの会議はみなTeamsで、これまで馴染みがなかったのですが、意外に(と言ったら語弊があるやもしれませんが)使えるものだと感心しました。大学院の夜の授業は、一番遅い7時限が終わると10時近くになってしまいます。現職の方が学べるようにということでこうしているのですが、勤務後本学まで来て、授業を受けて帰るのは夜も大分遅くなってからという状態は、かなりの負担だろうと思います。これが、自宅で受講できるとなれば、夜遅くに帰宅するということに対する抵抗をなくすことができ、合わせて疲労も軽減できて、現職の方ももっと受講しやすくなると思います。

このような教員の話を聞くと、社会が平常に復するとともに、遠隔授業を終わらせてしまうのはもったいない、今回の経験を元に、これまでのやり方と併用していく取り組みを進めていってもよいのではないか。今後、オンライン授業などの遠隔授業の活かし方を、質保証と合わせて、研究していく、こうした作業はこれからの教育に資する重要な検討課題になるのではないかとの思いを深めました。

緊急事態宣言解除に際して

学生のみなさん

緊急事態宣言が解除されました。みなさん、よく我慢してきました。

履修登録は対面の授業を聞くこともなく行わざるを得ませんでしたが、ほとんどの学生のみなさん、特に1、2年生は全員が登録してくれました。また、授業のスタートも遠隔で行わざるを得ませんでした。不自由・不慣れなところも多いだろうに、よくついていってくれていると思います。大学は、6月一杯、現在の状態を続けざるを得ないと思いますが、その後は感染防止の手立てを取りながら徐々に、少しずつ、閉鎖を解いていきます。その実際は、HP・ポータルメッセージ等でお知らせしますので、注意してみてください。

日々普通に行っていたいろいろのことが、どんなに貴重なことであったかなど、この間、いろいろと学ぶこともあったと思います。感染の第2波は必至ともいわれていますが、われわれの努力で、避けることのできるものです。引き続き想像力を働かせて、この状況を乗り越えていきましょう。

令和2年5月26日
東京学芸大学長  國分 充