学長室だより

ソビエトの買い物(3)― 笑わぬロシア人 ―

ずいぶん間があいてしまいましたが、ソビエトでの、新生ロシアでの買い物の続きです。笑わないというロシアの店員さんの接客態度に、買い物がだんだんと苦痛になってきたというところまで書きました。学長室だより(2021年12月17日)

私が行ったマクドナルドも同じでした。マクドナルドがあるのは、ロシアの外務省の近くで(この建物も、雀が丘のモスクワ大学と同じで、スターリン・ゴシックと言われる7つの建物のひとつです)、中心地と言っていいかと思いますが、そこの店員さんもまったく笑わない接客でした。ガイドさんに聞くと、最初は笑っていたそうですが、だんだんこうなったそうで、接客マニュアルより、やはりその国の文化の方が強いということでしょうか...。

そのマクドナルドで若い女性の店員さんに真顔で注文を執拗に聞き返され(あちらは私が行った当時は英語があまり通じず、片言のロシア語で注文するものですから、当たり前と言えば当たり前なのですが)、店員さんがこれみよがしに肩をすくめるのを見た時に、あぁここは言葉の通じないところなんだ、なら何を言ってもいいんじゃないかと、何か旅の恥はかき捨てのような気分となり、言い返してみることを思いつきました。

挑んだのはスーパーで、そこは、店員さんが座ってレジ打ちをするようになっているところでした。対戦相手は、若いけれどもかなりの体格の女性で、まるでその人をレジの前の椅子にはめてからまわりをいろいろと囲ったかのようで、レジ・スペースの出入りはどうしているのか??と疑問が浮かぶような状態の方でした。かなりの強敵と思いましたが、勇を奮って大きなお金を出したところ、下からジッとこちらを見上げ、ニコリともせず、案の上"ニェット!!(ダメ!!)"と発せられました。来たなと思いつつ、さらに勇を奮ってこちらも笑わず、ジッと相手を見て、"ニェット!!"と言い返しました。すると、ややあって、彼女が仕方ないという風情でレジを探り、お釣りの小銭を出してきた時には、勝った!と思いました。そこからは、この手でやればいいんだと自信がつき、買い物も苦痛でなくなりました。2週間ばかりの滞在でしたが、その間買い物を続ける中で、日本では、物を買うにしても店員さんに妙に気を遣っているということに気づきました。そして、こうしたやりかたは楽だと思うようになりました。無駄に笑わないというだけでも随分と精神的に楽なのです(人間がわるいのでしょうか、わたくしは...)。

そこで思い至ったのが、われわれの業界で言うところのSST=ソーシャル・スキル・トレーニングというものです。これは、人が社会で生きていく上で必要となる人間関係やコミュニケーションに関わる「技術」「技能」を学ぶことを言い、自閉症や発達障害など社会性に障害をもつ人を対象に行われることが多いものです。こうしたものの必要性というのは、ロシアのような国では大分違うのではないかと思ったのです。見知らぬ人に話しかける時には笑顔で、というようなことはロシアではないように思います(間違っていたらすみません)。これは、SSTと、英語ですので、アメリカが発祥の地かと思いますが、アメリカは、訴訟社会と言われるように、人と人との関係の緊張度が高い国だと思います。そうした国では、緊張を和らげるためにこうしたスキルの要請が強いのではないか、つまり、こうしたものの必要性というのは、国によって、場所によって違って、地球の普遍的な事情ではないのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか...?

前々回、外貨ショップ・ベリョースカの買い物システムが日本のスーパーなどと同じだったと書きましたが、ちょっと気になって当時のガイドブックを見たところ、一般と同じだと書いてありました。気になったというのは、写真でお示ししたレシートの裏に何かあちらの人が書いたと思われる数字が(ぐちゃぐちゃと)書いてあったからです。記憶がどうも混乱していたようです、すみません。となると、まずカウンターでその値段分のレシートを打ってもらい、それをКАССАに行って払い、レシートの裏に払った金額を書いてもらう、それで払った証拠にするということかと思いますが(カウンターで値段を書いてもらった紙に、レシートの印字をするというのはまず不可能でしょうから)、しかし、そうだとすると、あんな数字ならだれでも書けるようで、証拠になるかなぁと思うのですが...。また、外貨ショップなのに、レシートがルーブルというのは、価格の表示がルーブルだったからなのですが、このあたりまでは憶えているのですが、しかし、そうすると、外貨とルーブルの変換をどこでやったのか、レジでやったのか???ちょっと思い出せません、すみません。

下の1枚目の写真は、ロシア外務省で、この建物も、上に記しましたように前回紹介した雀が丘のモスクワ大学と同じスターリン・ゴシックと言われる建物のひとつです。2枚目の写真は、その近くにあったマクドナルドで、上に記したお店です。窓ガラスにロシア語でマクドナルドと書いてあります。映っている人物は、恩師を同じくする後輩たちで、左から葉石光一現埼玉大学教授、野口和人現東北大学教授、小松歩現白梅学園大学教授です。当時はみな准教授で、そう言えば私も准教授でした。写真を載せることは話してませんが、ま、いいでしょう...。

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2022年(令和4年)年頭に際して

すっかり遅くなってしまいましたが、あけましておめでとうございます。

コロナは、オミクロン株に姿を変えて、感染再拡大という状況となっています。本学の感染状況も、昨年末にはほとんどないような状態となっていましたが、年が明けてから、少しずつ増えてきています。こうした状況ですが、しかし、これまでの経験を生かして、これから始まる本格的な入試シーズン、秋学期後半を乗り切っていきたいと思います。

先週6日、7日と、本学と連携協定を結んでいる岩手県の二戸市に行ってきました。本学は、かなりの数の自治体と連携協定を結んでいますが、二戸市はその中でも古く、すでに10年に及ぶ交流を行ってきているところです。学長になってからまだ一度もご挨拶していないということで、協定のきっかけをつくった、岩手県での教員経験のある佐々木理事・副学長と訪れました。

初めての訪問ということで、協定締結時から10年以上にわたって教育長をお務めの鳩岡先生(高校社会科の元教員)から、地元の新聞の切り抜きを中心に、この10年間の連携交流の歩みをまとめられたファイルを頂きました。その中には、東日本大震災の被災地を、あちらの先生に引率して頂きながら数日かけて本学学生が巡るという、被災経験を若い人の記憶に残す ―― 後世に残していくという岩手の地でないとできないような貴重な、まことに得難い取り組みもありました。連携協定が実りあるものになっていることを、また、こうしたことをきちんと記録してくださっていることを、まことにうれしく思うとともに、本学への期待を強く感じました。

今年の4月から国立大学は、新たな6年間の中期目標・中期計画期間に入ります。気持ちを新たにして、「有為の教育者(教員・支援職)の養成」という本学の使命に取り組んでいきたいと思います。本年も引き続きよろしくお願いします。