文化財科学

第1回

E類生涯学習 文化遺産サブコース
文化財科学

文化財科学とは絵画や彫刻、陶磁器といった美術工芸品や、土器や金属器、木器などの考古学資料などの様々な文化財を対象として、科学的な方法を用いて研究する分野です。
新免ゼミでは、古い時代に作られた陶磁器やガラス製品、七宝製品といった窯業資料を中心に、蛍光X線分析などの科学分析機器を使って、資料を構成する材質を調査し、どのような技術で作られたのか、過去の技の解明に取り組んでいます。

ちょこっとのぞきみ

「文化財科学実地研究」

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この授業では美術品の絵具にどんな元素が含まれているのかを、科学分析機器を使って調べていました。三班に分かれてそれぞれ大学院生の先輩方に操作を教わりながらサンプルを機器とコンピュータを使って見ていきます。三班の内、一班は隣の研究室で大きな蛍光X線分析装置で調べていました。

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班が使用する機器はローテーションで授業毎に作業をしてきたようで、なかなかスムーズに調べてメモを取って次のサンプルに入れ替える連携がとれていました。皆さん学部2年生だそうですが、専門的な授業を受けているのですね。
科学的な分野の研究のようですが、美術史の研究に必要な文化的な分野であり、文系理系にとらわれない大変面白い学問だと思いました。美術館からの依頼で美術品を調べることもあるそうです。

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授業の印象として、真剣に取り組んでいるのはもちろんですが、作業が終わった後に新免先生と学生さんたちが和気あいあいとした雰囲気でお話しをしていたのがとても印象的でした。
授業が行われている実習室は自然科学棟の4階にあり、建物がなかなか複雑な構造で迷ってしまいましたが、自然科学棟のあちこちに資料や標本が展示されており、あまり入ったことが無かったので大変興味深かったです。
お話しを聞かせていただいた新免先生と学生さん方、ありがとうございました。

学生からのメッセージ

2年 羽生 彩香 さん

文化財科学実地研究では、文化財科学の主要な分析法である蛍光X線分析法やX線回折分析法などの機器分析を行いました。硬貨を構成する合金の種類や絵具に含まれる顔料の種類を特定する実験を行い、装置の使用方法や分析データの解析方法を学びました。機器分析というと非常に難しそうなイメージですが、装置はパソコンで容易に操作ができ、すぐに分析結果がでるのが驚きでした。一方で、分析方法には様々な特性があり、その特性に応じて分析可能な試料の種類も変わるため、調査対象に応じた分析法の選択が重要なことを知りました。文化財の保存や修復分野においても、こういった科学的な調査法は必要不可欠ですので、今後も様々な調査研究方法を勉強していきたいと思います。

教員紹介

新免 歳靖 先生

文化財科学は、文化遺産を自然科学的な手法を用いて研究する学問です。この授業では、実際に分析機器を使用しながら、文化財の材質分析の基本を学びます。文化財を保護し、後世に継承していくためには、対象となるものがどういった物質で作られているかを知ることが必要です。それは文化財の製作技術の解明だけではなく、適切な保存環境の決定や修復方針の策定時にも有用な情報となります。分析装置を用いた実習を通して、身の回りに存在する文化財を調査するための新たな視点を獲得して欲しいと考えています。

文章・写真/乗松まりな、小林慈樹、虫谷涼香

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