食物学

第3回

A類・B類家庭科
食物学

私たちの体を作っている食物全般の知識を学び、健康長寿を実現する!

ちょこっとのぞきみ

 家庭科は自立した人間になるための基本的な事柄を科学的に学ぶ学問領域です。その中で、食物学は食に関する様々な事を勉強します。
 食物というと食べる事をすぐ思い浮かべると思います。みなさんが食べている調理品は、人類が初期に手に入れた火をおこす事で可能になりました。最初の調理品は、焚き火の近くにあった肉が偶然焼けた事でできたと推測されています。
 調理は、しかし食物学の勉強の中でも実生活に密着したものです。その前には、様々な食品の調理性を学ぶ『食品化学』や『調理学』の基礎知識が必要です。

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〈食物学実験実習の授業風景―講義による知識を習得後、実験や実習を行います。〉

 写真は、ガス加熱で作った苺ジャムの煮詰まり具合をみていますが、この後、電子レンジで作った苺ジャムと比較をします。食品加工を行う実習では、ガス加熱と電子レンジ加熱で同一の加工品を作り、その出来栄え、調理時間、官能検査を行うことで、加熱方法の特性を学び、加工品に適した加熱方法の検討を行います。

 調理は、食品を加熱して美味しく味付けをするだけと思われがちですが、食品を汚染する有害な細菌や微生物を死滅させて私たちが摂取できる食品の数を多くし、さらに栄養素の消化や吸収を良くして、健康を維持増進し、その結果人類が飛躍的に人口増加させ、今日の人類の繁栄をもたらせたと言われています。
 私たちが健康に過ごすために、どのような食品をどれくらい摂取するか考えなくてはなりません。それには『栄養学』の知識が必要になります。

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〈デンプンの糊化に必要な吸水と加熱について、もち米とうるち米の違いを実験を通して学びます。〉

 これら、座学である『調理学』・『栄養学』・『食品学』・『食物学』の基礎知識をもとに、『食物学実験実習』の3種類の実習科目で基礎知識と実生活を結びつけて学ぶことで、日々の生活が科学的な知識の上に立脚したものである事を実感します。

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〈栄養学の基礎知識を確実にするために実験実習を行います。〉

 写真は青年期の女子の貧血予防食。鉄分の多い赤身の肉のメンチカツやマグロの佃煮、その他、貧血予防に必要なビタミンCや銅の含有量の多い食材を使用しています。

学生からのメッセージ

齋藤 美奈子(教職大学院家庭科教育SP2年生・平成30年度卒業生)

 食生活領域の授業では、栄養・食品・調理について詳しく学びます。特に、調理実習については、数日間かけて集中的に行われます。中学校・高校の調理実習よりも、幅広いテーマを扱います。例えば、離乳食や介護食作りです。食べる人に合った献立の立て方や食事の特徴、調理の工夫を学びます。また、ケチャップ作りや皮から作る餃子、小麦粉に加える調味料を変えて出来上がりの食感の違いを知るという実験もありました。実験・実習を通して、料理や食品の特徴を体験的に学ぶことができます。
 食生活領域の学習は、生涯の健康につながります。学習を通して、自らの「食」に対する意識を見直すきっかけにもなります。ごはんを食べて、おいしい!と感じる裏側には栄養・食品・調理の知識が隠れています。食品の持ち味を引き出すための調理方法、栄養を体に取り込みやすくするための調理方法など、様々あります。
食生活領域の学習を通して、「食べる」ことに対する興味関心が広がり、心身共に豊かになると思います。私自身も、「食べる」ことの楽しさや面白さを知ることができ、とても充実した学生生活を送っています。

教員紹介

南 道子

担当授業:調理学概論、食物学実験・実習A、食物学実験・実習B、食物学実験・実習C、家庭科教材論Ⅱ(食生活領域)、家庭科研究(食生活領域)

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