国が違えば教育も違う?

第2回

A類国際教育
国が違えば教育も違う?

    渋谷 英章 先生

ちょこっとのぞきみ

他の社会の教育と日本の教育を比較しながら、教育における社会と人間との関係を追究しています。「国際教育臨床」、「国際教育政策論」、「比較教育学研究」、「教育開発と教育協力」などの授業を担当しています。

上記の問いについての答えは「Yes」でしょうか。それとも「No」でしょうか。「Yes」でもあり、「No」でもあるというのが私の考えです。教育は現在の世代が次の世代を形成する社会体の更新であると考えれば、国がその社会体の単位として考えられることはあたりまえかもしれません。しかし、たとえば、私の主たる研究対象であるインドでは、州によって学校制度は異なりますし、学校で使われる言葉も違います。また、その家族が信ずる宗教によっても、教育のあり方は異なります。日本だけを見ていると気が付かない多様性の中で教育は営まれているのです。そしてこのような視点で日本の教育をとらえなおせば、日本の教育が必ずしも画一的ではないことがわかるはずです。国による教育の違いに着目して比較することはわかりやすいかもしれませんが、それによって大事なことを見逃しているかもしれません。他方、国の違いにかかわらず、生まれた我が子の将来の幸せを願わない親はまずいないでしょう。この点では人間にとって教育は普遍的なものであると考えられます。

担当する授業のひとつ「比較教育学研究」では、様々な社会的、文化的背景で生きる子どもたちの教育について、ビジュアルな情報(ドキュメンタリーや映画など)を参照しながら、受講生に「教育とは何か」を考えてもらうことを心がけています。ただ、このような映像資料は制作者の意図にしたがって(時によってはフィクションで)構成されていることがありますので、映像だけに依存せず、その事象の背景や歴史的事実などの客観的裏付けを確認しながら進めることも求められます。

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【フォトランゲージ①】「同じ国の子どもの写真かな?」(「国際教育臨床」)

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【フォトランゲージ②】写真を使って子どもの生活を説明する(「国際教育臨床」)

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【フォトランゲージ③】「◎◎さんとは☆☆が違う人」<フルーツ・バスケット>(「国際教育臨床」)

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【世界一大きな授業】「世界の子どもが高校まで行くのに必要は援助額」と「世界の軍事費」の違いをリボンの長さで比べる(「国際教育臨床」)

教員紹介

渋谷 英章

専門:比較教育学
担当授業:比較教育学研究、国際教育政策論、国際教育演習D、教育開発と教育協力、国際教育臨床、国際教育特別研究、国際教育選修入門セミナー、教育実践演習(小・中・高)

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