家庭経営学

第3回

A類・B類家庭科
家庭経営学

暮らしの基本となる収入や支出のあり方を学んで幸福に満ちた生活を実現しよう!

ちょこっとのぞきみ

 家計の収入がなかなか増えませんね。総務庁「家計調査」によると、収入は2008年をピークに、それ以降、減り続けていました。近年、持ち直す傾向はあるものの、多くの家計は「収入が増えた」とは実感できていません。皆さんが家計から受け取る仕送りの金額、この額は、皆さんの親が学生のときの金額とあまり変わらない、という調査もあるほどです。発想の転換が求められています。高度経済成長期とは異なり、これからは収入があまり増えない中でどのように暮らすかを考えてみるのです。

 1年春学期に必修科目として学ぶ「家庭経営学」では、まず、家族の自己実現をはかるため、ライフサイクルの変化と社会経済動向を概観し、意思決定論の基礎を学びます。また、家計の経済行動の基礎を学ぶために、「家計調査」を用いて、年齢階層別の家計収支の特徴等について学びます。家計がどのように所得税を支払っているのか、その簡単な仕組みを学ぶだけで、日本の税・社会保障制度が「夫のみ働き、妻は無職の専業主婦」という前提で成り立つことが理解できるでしょう。

 家計支出で最も大きな費目は、子育て・教育費と住居購入にかかわる費目です。「生活経営学」では、例えば、子供2人を大学まで進学させ、かつ住居を購入するとどれくらい支出が必要かについて、エクセルを用いてシミュレーションします。

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〈高校生向け金融教育教材を活用した20代一人暮らしの家計収支についての発表〉

 「生活設計論」では、変化の激しい今日において人生を実り豊かなものにするため、生涯生活設計の観点から、就職、結婚、出産、育児・教育、住居購入、退職、介護、消費と貯蓄・資産形成、遺贈などライフステージに応じた意思決定について学び、学生が望む人生について、エクセルを用いてシミュレーションします。
 さらに、今日の消費者問題の現状と問題点を理解し、家庭科における消費者教育の意義や内容および指導法などについて学ぶのが「消費者教育」です。講義では、金融教育教材も活用しながら、学生が当事者の目線から課題を解決していきます。

学生からのメッセージ

澤田 千春(令和元年度卒業生)

 田中先生の授業で印象に残っているものの一つに、「家族の幸福を実現するためには何が必要か?」という議題について皆で討論したということがあります。学生の意見は、「愛」か「お金」か、で真っ二つに分かれました。もちろんどちらも大切であることは一致していましたが、一番大切なものはどちらか?と突き詰めた時に答えは出ませんでした。暮らしとお金には密接な関りがあり、人生には良い事にも悪い事にも全てお金が関わってきます。授業では、「どのような時に、どれだけのお金が動くのか」を非常に具体的な数値を用いてシミュレーションを行ったため、貯蓄の大切さや資産形成の必要性を、身をもって感じることが出来ました。
 これから先、より良い生活を、人生を創っていくためにも家庭経営学とは有意義な学びであったと思います。

教員紹介

田中 敬文

担当授業:「家庭経営学」「消費者教育」「生活経営学」「生活設計論」、「ボランティアとNPO・NGO」(全学共通科目)

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